【9月21日 AFP】サッカー、イングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)は20日、オーナーのロマン・アブラモビッチ(Roman Abramovich)氏との一連の確執によりジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)前監督が退団したショックに大きく揺れた。

 後任には同クラブのスポーツディレクターで元イスラエル代表監督のアブラハム・グラント(Avram Grant)氏の就任が決まり、モウリーニョ体制でアシスタント・コーチを務めたスティーブ・クラーク(Steve Clarke)も引き続きチームに残留し、指揮を執ることとなった。アブラモビッチオーナーと仲の良いグラント新監督が長期間に渡ってチームを指揮するかどうかははっきりしていないが、23日に控えるプレミアリーグ・第7節のマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)戦の指揮を執ることは確実となっている。

 グラント氏の新監督就任は、チェルシーの監督を務めた3年間でいくつものタイトルをチームにもたらしたモウリーニョ前監督の退団発表の数時間後に発表された。
 
 モウリーニョ前監督の退団はサポーターにショックを与え、20日夜にサポーターたちは、モウリーニョ前監督への「サポートと感謝」を表すために本拠地のスタンフォード・ブリッジ(Stamford Bridge stadium)に集まるように呼びかけた。集まったサポーターたちは、「モウリーニョ、とても最高」と書かれた横断幕を掲げ、モウリーニョ前監督を連れ戻すように呼びかけた。

 その後、同日遅くにクラブが付け加えた声明文によると、「ジョゼは辞任したのでも、解任されたのでもない。今回のことはクラブとの双方合意のもとで行われた。しかし、はっきりしていることはクラブとジョゼの関係が完全に修復不可能なところまできていた」とモウリーニョ前監督退団の経緯を説明している。

 自身を「特別な存在」と語ったモウリーニョ前監督は20日の朝にクラブの練習場を訪れ選手に別れを告げた。

 モウリーニョ前監督の退団は20日未明には決まっていたようで、対立の絶えなかったアブラモビッチオーナーとの関係は、最終的にアブラモビッチオーナーが望むような魅力的なサッカーが実現しなかったことにより終焉を迎えた。モウリーニョ前監督は2006-2007シーズン中にも解任間際までいったがこの時はアブラモビッチオーナーが、後任に選んだ前ドイツ代表監督のユルゲン・クリンスマン(Jurgen Klinsmann)氏の説得に失敗したために流れていた。

 今回グラン氏が新監督に就任したが、モウリーニョ前監督に代わって長期政権を任せる人物として、現在はカリフォルニアに住むクリンスマン氏を監督に迎えようとする新たな動きも考えられる。またアブラモビッチ氏を良く知る現ロシア代表監督のフース・ヒディンク(Guus Hiddink)氏や、かつてチェルシーでプレーした経験も持つディディエ・デシャン(Didier Deschamps)氏の名前も挙がっている。しかし今後再びアブラモビッチオーナーがチーム作りに干渉してくるのは間違いない。

 一夜明けた21日にクラブのホームページ上で発表された最終的な声明の中では、「今回の結論が延びたのは、(モウリーニョ前監督の退団が)チームのパフォーマンスに影響を与えることを危惧してのことで、また最近数試合の結果もあってこの結論に至った。これ以上この問題が騒がれて、クラブに悪影響が出ないようにしたい」と、この一連の騒動が尾を引かないことを願っている。

(c)AFP