【7月16日 AFP】シンガポールで15日、サッカーの国際試合でレバノン人審判団に女性をあっせんして八百長を持ち掛けたとして訴追されたシンガポール人実業家、エリック・ディン・シーヤン(Eric Ding Si Yang)被告の裁判が始まり、すでに有罪判決を受けたレバノン人主審が証言した。

 事件は、シンガポールで4月に開催されたAFCカップ(AFC Cup)グループリーグ、シンガポールのタンピネス・ローバーズ(Tampines Rovers )対インドのイースト・ベンガル(East Bengal)の試合の主審に決まっていたレバノン人審判アリ・サッバーハ(Ali Sabbagh)受刑者(34)とレバノン人副審2人が、ディン・シーヤン被告から八百長を条件に性的接待を受けたというもの。

 サッバーハ受刑者らは試合前に審判団を下ろされ、当局が事態を捜査。サッバーハ受刑者は6月、禁錮6月の有罪判決を受けた。副審2人も有罪となったが釈放され、レバノンに送還されている。

■「ペナルティーエリアで笛を吹け!」

 15日の裁判で証言台に立ったサッバーハ受刑者は、自分に宛てた電子メールに、ディン・シーヤン被告が動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」のリンク20~30件を添付して、故意に誤ったジャッジをする方法を指南したと証言した。

 さらにサッバーハ受刑者は、昨年末の電子メールのやりとりの中で、ディン・シーヤン被告から八百長審判の最適な方法はペナルティーキックを与えることだと指示されたと明かした。サッバーハ受刑者によれば、ディン・シーヤン被告は「誰も止められないし、手出しはできない。コーナーキックになったら、ともかく笛を吹け。引っ張ったとか押したとか言って。ペナルティーエリアで起きたことには、何でも笛を吹けばいい」と言ったという。

 またサッバーハ受刑者は、八百長の条件として最初に女性のあっせんを希望したのは自分だと証言した。そしてAFCカップの試合前に、ディン・シーヤン被告からコロンビア人女性とアジア人女性のどちらが良いかと尋ねられた審判団は、3人ともアジア人女性を希望したという。

 ディン・シーヤン被告による性的接待は、さらに韓国やカタール、イランでのAFCチャンピオンズリーグ(AFC Champions League)における八百長行為も期待してのことのようだったと、サッバーハ受刑者は証言した。(c)AFP/Bhavan JAIPRAGAS