【6月17日 AFP】サッカー欧州選手権2012(UEFA Euro 2012)でグループリーグ突破の可能性を残しているオランダ代表だが、統計は彼らにとって不利な傾向を示している。

 ベルト・ファン・マルワイク(Bert van Marwijk)監督率いるオランダが準々決勝に進出するためには、17日に行われるグループ最終戦でポルトガルに2点差以上で勝利し、ドイツがデンマークに勝利しなければならない。

 過去の欧州選手権で大会初戦から2連敗を喫しながらもベスト8に進出したチームは存在せず、統計学からスポーツを検証するインフォストラーダ・スポーツ(Infostrada Sports)は、オランダのグループリーグ突破の可能性を9.5%とはじき出している。

 また、2010年W杯南アフリカ大会(2010 World Cup)で準優勝しているオランダは不吉な前例を抱えている。1978年W杯アルゼンチン大会で準優勝したオランダは、2年後の1980年に行われた欧州選手権でグループリーグ敗退に終わっている。 

■チーム内に不穏な空気が漂うオランダ

 ファン・マルワイク監督は現在、数名の主力選手との確執が取りざたされている。

 クラース・ヤン・フンテラール(Klaas-Jan Huntelaar)とラファエル・ファン・デル・ファールト(Rafael Van Der Vaart)は自身の起用法に不満をあらわにし、ドイツに1-2で敗れた13日の試合で途中後退を命じられたアリエン・ロッベン(Arjen Robben)は、広告看板を飛び越えてふてくされた表情を浮かべながらピッチを後にした。

 欧州選手権予選で出場国最多の37得点を記録しているオランダだが、今大会ではここまで45本のシュートを放ちながらも、ドイツ戦の後半28分にロビン・ファン・ペルシー(Robin Van Persie)が挙げた1得点にとどまっている。

 オランダ国内のメディアは、フンテラールではなくファン・ペルシー起用をこだわり続けているファン・マルワイク監督を批判しており、17日のポルトガル戦ではイブラヒム・アフェレイ(Ibrahim Afellay)に代わってフンテラールが先発出場する可能性が浮上している。

 オランダの日刊紙アルヘメン・ダフブラット(Algemeen Dagblad)でファン・マルワイク監督は、「ドイツ戦の敗戦で多くの結論を導き出した。われわれの守備はいい加減であり、アフェレイとロッベンの両サイドには満足していない」とコメントしている。

 準々決勝進出へのわずかな可能性を信じ、不吉な予兆を現実のものにしたくないと願うオランダは、ポルトガルとの最終戦ではオレンジではなく黒のユニフォームを着用する。

■大会8強入りを見据えるポルトガル、鍵はロナウドの状態か

 対するポルトガルは、ミゲル・ロペス(Hugo Miguel Almeida Costa Lopes)が風邪から復帰し、15日に行われたチーム練習には選手全員が揃った。

 大会初戦でドイツに0-1で敗れたポルトガルだが、続くデンマーク戦では試合終盤に途中出場のシルベストレ・バレラ(Silvestre Varela)が劇的な決勝点を挙げて3-2で勝利し、準々決勝進出に望みをつないだ。

 オランダとの最終戦に勝利すれば、同日行われるもう1試合でデンマークがドイツに勝利しない限り、ポルトガルのベスト8進出は確実となる。しかしながらポルトガルとデンマークが勝利すれば、3チームが勝ち点6で並ぶことになり、最終順位は当該チーム間の対戦成績を比較して決定される。

 ポルトガルのパウロ・ベント(Paulo Bento)監督にとって唯一の不安要素は、チームの主将を務めるクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)の状態になる。デンマーク戦でロナウドはゴールキーパー(GK)と1対1となった2度の得点チャンスを決めることができなかった。

 ポルトガルとオランダが最後に対戦したのは、2006年W杯ドイツ大会の決勝トーナメント1回戦までさかのぼることになる。両チーム合わせて16枚のイエローカード、4人の退場者を出す大荒れの展開となった試合は、ポルトガルが1-0で勝利している。

 ポルトガルは前回の対戦と同様に自分たちに軍配が上がることを望んでいるが、バレラはオランダを決して侮ってはいけないと主張している。

 バレラは「オランダが素晴らしい選手を擁していることは誰もが知っている。僕らは試合で自分たちのことに集中しなければならないが、傷ついた相手であっても油断してはいけない」と語った。(c)AFP/Tom Williams