【11月19日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)のジョセフ・ゼップ・ブラッター(Joseph Sepp Blatter)会長が、人種差別を容認するような自身の発言について謝罪したものの、辞任する意向はないと主張した。

 ブラッター会長は、18日に行われた英BBCのインタビューで不適切な発言を認め、「このような反応を予想できなかったことに心が痛んでいる。間違った行いで人々に影響を与えてしまったときは、謝るほかない。(発言したことを)深く後悔している」と謝罪した。

 しかし、各界からの辞任要求については「辞任はできない。なぜ辞任しなければいけないのか」と一蹴した。

 「問題に直面したときはその問題と向き合わなければならない。辞めるのはずるい行為であり、私の性格、闘志、活力にはそぐわない」と話したブラッター会長は、試合中に人種差別発言があった場合、(差別行為をした)選手は容赦なく罰し、直ちに退場処分を下すべきと考えを主張している。

 ブラッター会長は16日、米CNNワールドスポーツ(CNN World Sport)で「サッカーに人種差別はない。存在したとしても挑発みたいなもので、試合後に握手して和解すればいい」と語っていた。

 この発言に対し批判が殺到し、2018年サッカーW杯の開催地の買収疑惑が報じられて以来、ブラッター会長の信頼が失われていた英国では、人々の怒りは再び燃え上がった。

 デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相は「人種差別発言を試合の一部として受け入れるべきだなんて軽率でぞっとしている」とコメントを発表したほか、文化・メディア・スポーツ省(The Department of Culture Media and SportDCMS)のヒュー・ロバートソン(Hugh Robertson)英スポーツ大臣や、イングランド・プロサッカー選手協会(Professional Footballers' AssociationPFA)のゴードン・テイラー(Gordon Taylor)会長はブラッター会長の辞任を要求していた。

 イングランド・プレミアリーグでは、リバプール(Liverpool FC)に所属するルイス・スアレス(Luis Suarez)がマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)に所属するパトリス・エヴラ(Patrice Evra)に、チェルシー(Chelsea)に所属するジョン・テリー(John Terry)がクイーンズ・パーク・レンジャーズ(Queens Park Rangers、QPR)のアントン・ファーディナンド(Anton Ferdinand)に対して人種差別を行った疑惑が持ち上がっており、イングランドサッカー協会(Football AssociationFA)と警察が調査に乗り出している。(c)AFP