【3月28日 AFP】2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)・アジア3次予選・グループ2、アウェーでのバーレーン戦で臆病かつ守備的なサッカーを見せた日本代表が岡田武史(Takeshi Okada)監督の再就任後初の敗戦を喫したことで、同予選突破に暗雲が漂い始めた。

 26日に行われた試合でタイに勝利したオマーンと同じ勝ち点3ながら、日本は勝ち点を6に伸ばしたバーレーンについでアジア最終予選へ出場出来る2位につけているが、全チームが3次予選の4試合を残している。

 試合後、マナマ(Manama)で岡田監督は「考えていた最悪のシナリオです。でもホームで勝てばいい。時間もあるし、やっていけると思う。簡単にクロスを上げさせ、その後、ミスが出た。それでも予選突破に向けて十分なチャンスはある」と、気持ちを切り替えていた。

 試合は後半32分、左サイドからイスマイル・ハサン(Ismail Hassan)が上げたクロスに反応した日本のGK川口能活(Yoshikatsu Kawaguchi)が左手で弾いたボールをバーレーンのアラ・フバイル(Aala Hubail)がヘディングで押し込み、1点を奪った。日本はバーレーンとの過去4試合では負け無しで、イビチャ・オシム(Ivica Osim)前監督の後任として再就任した岡田監督もこれまで3勝2分けとしていたが、初の敗戦となった。

 日本が初出場し全敗に終わった1998年W杯フランス大会へチームを導き、4大会連続の大舞台出場への期待を背負う岡田監督には様々な批評が上がってきている。影響力の強い朝日新聞(Asahi Shimbun)は、「日本のサッカーはどこへ行ってしまったのか」、岡田ジャパンが「小気味のいいショートパスの連続。相手に先を読ませない連係プレー。タイミングのよい個人技」を持っていた「オシムが作った緻密なサッカーを壊した。スコアは0-1だが完敗だ」と日本代表のプレーを悲嘆した。

 所属するスコットランド・プレミアリーグのセルティック(Celtic)との取り決めにより招集できなかった中村俊輔(Shunsuke Nakamura)や、怪我の為代表チームから離脱したドイツ・ブンデスリーガ1部のフランクフルト(Eintracht Frankfurt)の稲本潤一(Junichi Inamoto)を欠き、日本の得点の鍵を握る高原直泰(Naohiro Takahara)が怪我で出場できなくなるなど、岡田監督は不運に遭っていたが、守備重視で臨んだ再就任後初の3バックの布陣のギャンブルも裏目に出た。サンケイスポーツ(Sankei Sports)紙は「中盤からボールが進まない。前半のシュートはわずかに2本。オシム前監督が貫いてきた攻撃的な4バックを捨てた」と批判している。

 ガンバ大阪(Gamba Osaka)に所属する遠藤保仁(Yasuhito Endo)が「今日は相手より走っていなかった。アウェーでは特に大事。全てにおいて後手に回った」と試合を振り返ると、浦和レッドダイヤモンズ(Urawa Red Diamonds)の阿部勇樹(Yuki Abe)は「全体に運動量が少なかった。相手の方がピッチに倒れるまで出し切っているのを見ると違うと思った。僕らももっと出していかないといけない」と語り、日本代表の選手たちはバーレーンのフィジカルの強さを制圧するガッツが無かったことを認めている。

 また、25日に都内の病院を退院したオシム氏はサポーターに対し「みなさまには次のようにお願いします。スタジアムに足を運び、選手たちに大いにプレッシャーをかけて下さい。もっと走れ、もっとプレースピードを速くしろと」という声明を発表しており、この災いを予見していたのかもしれない。(c)AFP