【11月21日 AFP】(一部更新)サッカー、欧州選手権2008(Euro 2008)予選敗退を喫したイングランド代表のスティーヴ・マクラーレン(Steve McClaren)監督が22日、その代価を解任の形で支払った。  自らの辞任を否定していたマクラーレン監督だったが、現地21日にホームのウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で2-3で敗れたクロアチア戦後12時間も経過しないうちに解任を言い渡され、15か月の監督生活にに終わりが告げられた。  22日朝に緊急会合を開き、出席した協会幹部の満場一致でマクラーレン監督の解任を決定したイングランドサッカー協会(Football AssociationFA)は、テリー・ベナブルズ(Terry Venables)アシスタントコーチの解任も発表し、2年前に行われた同予選組合せ抽選会の時点で十分に本戦出場が可能と考えられていたイングランド代表がどうして予選敗退を喫したのかを「徹底的」に調査する事を示唆した。  マクラーレン氏を監督の座に4年契約で就かせたFAの最高責任者ブライアン・バーウィック(Brian Barwick)氏は「予選敗退は満足では無いということだ。大きな大会の本戦出場が最低条件だった」と語り、役員会には他の選択肢はなかったことを説明した。  FAはすぐにでも後任候補を探し始めるとしているが、2008年3月26日に行われるフランスとの親善試合までは代表の試合が組まれていないため、特に期限を定めないとしている。  最有力候補にはマクラーレン氏の就任前にも監督候補に推されていた現アストン・ビラ(Aston Villa)のマーチン・オニール(Martin O’Neill)監督が挙がっており、アストン・ビラのオーナーを務めるランディ・ラーナー(Randy Lerner)氏は、オニール監督がその役を引き受けたいようなら邪魔をしない姿勢を見せている。  また、FAが2007年9月にチェルシー(Chelsea)の監督を退任したジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)氏の就任に可能性を求める事になるのも必然的に考えられるが、モウリーニョ氏がこの役職を望み、FAの幹部が論争の的になりうる人物を掌握できるかどうかなど疑わざるを得ない部分がある。  敗北を喫したクロアチアとの試合後、ウェンブリーに集まったファンから怒りのブーイングを受けて選手と共にピッチを後にしたマクラーレン監督は、「言葉では言い表すことのできない苦痛だ。スタジアムに詰め掛けたファンと自宅のテレビの前で観戦するファンから懸かっていた期待を裏切ってしまった。ファンがどんな気持ちでいるか理解してるし、我々も同じ気持ちだ。最終的な順位が我々の実力であって予選通過に値するチームではなかった。それが私の職責だ」と語り、チームの予選敗退の責任は自身が取らなければならないと認めた。  この発言は、同監督が自身の命運の行く末を悟った事を示唆している。辞任を否定したのも、解任されることによって契約で残っていた約2年分の給与がFAによって支払われるからだ。この支払いを合わせて、FAがマクラーレン監督在任期間に費やした総経費は1000万ポンド(約22億6000万円)以上となり、今回の予選敗退に伴う損失は賞金やテレビ放映権の収入など最低800万ポンド(約18億1000万円)と見込まれている。 (c)AFP/Angus MacKinnon