【11月9日 AFP】1991年11月7日にHIVウイルス感染を告白し、現役を引退した元NBA選手のマジック・ジョンソン(Magic Johnson)氏が7日、ロサンゼルスのステープルズ・センター(Staples Center)で引退20周年を記念する式典を行い、引退する決断が早すぎたかもしれないが後悔はしていないと語った。

 シーズン最優秀選手(MVP)に3度輝いているジョンソン氏は、当時は正しい判断だったとしながらも「あの時、20年後もバスケットボールができる状態だと知っていたら、引退していなかった。でも、自分は過去にこだわる人間ではないから後悔はしていない。長く生きたかったので、今は幸せだ」と語った。

 式典にはロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)でチームメイトだったマイケル・クーパー(Michael Cooper)氏やジェームズ・ウォージー(James Worthy)氏をはじめ、レイカーズOBのジェリー・ウェスト(Jerry West)氏など多数の著名人や政治家が出席した。

 32歳でヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を告白し、世間を震撼させたジョンソン氏は、引退後はエイズ撲滅活動に力を入れており、1991年にはチャリティー団体「マジック・ジョンソン財団(Magic Johnson Foundation)」を設立した。式典では、財団からエイズ研究のために100万ドル(約7770万円)の寄付が発表された。

 またジョンソン氏は、一時期は1日15錠以上の薬を服用していたものの、52歳になった現在では薬の量も減り、日常的な運動で発症を抑制できていることを明かした。

 発症を抑制することで、撲滅活動やエイズ検査を推奨する活動を行えるのは喜ばしいことだと話すジョンソン氏だが、その反面、(発症していないため)重病であることの信憑性に欠けることを懸念しており、「人によっては感染しても影響を受けにくいかもしれない。でも、毎年数百万人が亡くなっていることも事実だ」と語った。

 ウォージー氏は、ジョンソン氏が病気と向き合う姿から様々なことを学んだと明かし、「彼の告白で誰にでも病気に感染する可能性があり、検査を受けたことのない人が気にするきっかけにもなった。当時は多くの人が死にいたる病気だと思っていたので、それ以外の意味も見出した彼はすごい」と称えた。

 リーグ史上最高成績となる生涯1試合平均アシスト数11.2の記録を持つジョンソン氏は、NBAオールスターに12回選出され、NBAファイナルには9回出場している。また、1992年のバルセロナ五輪では、米国代表「ドリームチーム(Dream Team)」のメンバーとして金メダルを獲得した。(c)AFP