そのまま食べられる栄養治療食(Ready-to-use-food;RUF)を食べる子ども。ブルンジ、2001年。(C)Alain Frilet/MSF
【国境なき医師団】
国境なき医師団(MSF)は今日、今月7日から始まる主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)のために日本に集結する各国首脳に対し、幼児を対象とした食糧援助および栄養治療プログラムへの十分な資金拠出を行うよう要求する。年間300万から500万人の子どもたちの命を奪っている栄養失調の危機的状況に対し、サミット参加国は新しくかつ効果的な戦略を実行するために必要な資金拠出がされるよう行動を取るべきである。
2000年に日本で開催されたサミットでは、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)を設立することにより、各国首脳は具体的な変化を促すために行動できることを示した。この基金により、支援を望む国は今日、HIV/エイズ治療の拡大等を始めとする意義深い支援を享受できるようになった。MSFは、子どもたちの栄養失調を劇的に減少させる為に、これに相当する規模の貢献を行うよう主要8か国(G8)に呼びかける。
MSFの必須医薬品キャンペーンの栄養アドバイザー、スーザン・シェパード医師は語る。「今、緊急に行動を起こし、栄養失調による死のリスクに瀕している子どもたちを救う為の治療を拡大する必要があります。重度の栄養失調状態にある子どもたちのうち、95%が適切な治療を受けることができません。G8首脳は、子どもたちが命を救う治療を受けられるように、迅速に行動すべきです。」
国連の推定では、命の危険にさらされている子どもおよび女性1億世帯を対象にした包括的な栄養治療の戦略に対して資金提供するためには、年間80億米ドル(8400億円)が必要になる。このうち15億米ドル(1575億円)は、重度の栄養失調により生命の危険に瀕している子どもたちの治療に必要となる。G8首脳は、栄養失調の影響を受けている国々が治療プログラムを拡大でき、かつ、栄養価が高くそのまま食べられる栄養治療食(ready-to-use food: RUF)を無償で提供できるよう保証すべきである。
MSFは、エチオピアやニジェールを含む世界の栄養失調が多発する地域で活動を行う中で、栄養失調の悪化を目の当たりにしてきた。収穫期の狭間に生じるハンガーギャップ(端境期の飢餓)に旱魃が輪をかけ、栄養失調のレベルは悪化している。エチオピアのオロミア州および同国南部におけるプログラムで、MSFは今年5月中旬から6500人以上の重度の栄養失調児の治療を行っている。
栄養失調は、慢性的な緊急事態であり、現在の食糧価格の高騰がこれに拍車をかけている。食糧価格が高騰すると、貧困家庭は乳製品、卵、肉などの高価な動物性食品を食事から外さざるを得ない。これらは、幼児が正常に成長し、病気にかかるのを防ぐ為に重要である。
しかし、国際的な食糧援助では動物性食品を含まないトウモロコシや、小麦と大豆の混合粥食が子どもたちに提供され続けており、これは栄養失調に対してはあまり効果的とはいえない。幼児を対象とする栄養強化小麦に含まれていた乳成分は、余剰ミルクが無かった1980年代後半に、経済的理由により米国の援助食糧から除外された。このような費用を抑えた解決策は危険を招く恐れがある。
より多くの家族が、いかにして子どもたちを食べさせていくか自問自答している中、MSFはG8首脳に、子どもたちの未来への投資を実質的かつ継続的に行う意思があるかを問いかける。
シェパード医師は語る。「私たちは、子どもたちが健康に発育するためにはどのような食物が必要かを知っているにもかかわらず、世界のリーダー達はなぜ、自分の子どもたちには決して与えないであろう食糧を飢えた国に送るという二重基準に満足しているのでしょうか?具体的、大規模、かつ長期的な援助がない限り、子どもたちの栄養失調の治療や予防に大きな改善をもたらすことが出来るなどと考えるのは幻想に過ぎません。」
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MSFは2006年および2007年に、22カ国で15万人以上の子どもたちを栄養治療食および栄養補助食を利用して治療してきた。
(c) 国境なき医師団



