関連情報国境なき医師団
【国境なき医師団】
毎年数千人にのぼるソマリア人とエチオピア人が、紛争や極度の貧困から逃れるために命がけでアデン湾を渡りイエメンに入国している。航海は危険と背中合わせであり、密航業者から暴力を振るわれ、イエメンに到着しても援助はほとんど受けられない。国境なき医師団(MSF)は、本日発表した報告書「選択の余地なし」において過酷な航海の状況を公表し、祖国を脱出した数千人の難民・移民・亡命希望者に対してさらなる支援を行うよう要求する。
ソマリアにおける戦闘の激化と、「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ大陸東部を直撃している干ばつが原因で、新たにイエメンへと入国する人は増え続けている。国連によると、2007年には3万人がこの危険な航海を試み、2008年の1月から5月の間には2万人がイエメンに到着した。しかし、そのうち多くは航海に失敗している。2007年には1400人以上の死者および行方不明者が報告され、2008年6月までには400人がイエメンの海岸にたどり着くまでに命を落した。
6月20日の「世界難民の日」に発表されたこの報告書は、2007年9月からイエメンで活動するMSFのチームが集めた250を超える証言に基づいたものである。難民たちは疲れ果て、多くは病気にかかっており、精神的に打ちのめされた状態で到着する。定員30人から40人程度の8?10mの小船に、100人を超える難民が詰め込まれる。難民たちは2?3日の航海中、身動きもできず同じ姿勢で座らされ、多くの場合水も食糧も与えられない。
密航業者は極めて暴力的で、動こうとした人はだれでも殴る。貯蔵スペースとして設けられた狭くて窓のない倉庫に詰め込まれた人びとの場合、状況はさらに深刻である。20人もしくはそれ以上がこのような場所にひしめき合い、折り重なるように座ることを強要される。非常に劣悪な状況のため、乗員の3分の1が航海中に死亡したと報告されている。主な死因は激しい殴打、水と食糧の不足、そして倉庫内での窒息である。MSFが聞き取り調査を行った人のうち何人かは、密航業者が子どもを含む難民を甲板から海へ突き落としたと証言した。
イエメン沿岸への上陸は非常に危険である。軍による逮捕を避けるため、多くの船が夜間に到着し、海岸には近づかない。乗員は密航業者から水深の深い海に飛び込むよう強要され、多くの人びとが溺れ死ぬ。泳げない人もいれば、感覚がなくなり体が動かせなくなる人、方向を見失って海岸にたどり着けない人もいる。
MSFが聞き取り調査を行ったほとんどの人は危険を承知していたが、暴力と貧困から逃れる唯一の生存手段として、他に選択の余地がなかったと証言している。危険な航海を経てイエメンに到着したとしても、窮状は終わりではない。イエメンという国は資源に乏しく、支援はほとんど得られない。MSFのイエメンにおける活動責任者、アルフォンス・ヴェルデュは語る。「現在の人道援助では不十分です。さらなる国際的な援助が必要とされており、資金拠出機関は政治面でも経済面でもこの問題に対応すべきです。イエメンに到着した難民に対する援助を増やすことが必要であり、さらに多くの団体が援助活動に取り組むことが求められています。」
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MSFは2007年9月、イエメン沖に到着する難民に対して医療・心理ケアおよび人道援助を行うプログラムをイエメン南部の沿岸地域で開始した。移動診療チームが海岸で救急処置と緊急援助を行い、アワル収容センター内で救急診療所を運営している。MSFは過去8ヵ月間で6千人を超える難民に援助を行った。
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MSF報告書「選択の余地なし:命懸けでアデン湾を渡るソマリア・エチオピアからの難民・移民・亡命希望者たち」の全文(英語版)は下記のリンクにてご覧になれます。
http://www.msf.or.jp/pressroom/img_press_report/pdf/YemenReport.pdf
(c) 国境なき医師団





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