
【シャンティ国際ボランティア会】
社団法人シャンティ国際ボランティア会(以下SVA)は、タイ国内にあるミャンマー(ビルマ)難民キャンプで2000年から教育支援活動を行っている。キャンプに暮らす難民は、祖国ミャンマー国内の情勢をどのように見ているのだろうか。
ミャンマー(ビルマ)難民(以下ミャンマー難民)がタイ国境を越え、最初に難民キャンプができたのは1984年。それ以降難民の数は増え続け、現在では9つのキャンプに14万人の難民がいる。
電気の通っていない難民キャンプだが、人々はラジオのBBC(British Broadcasting Corporation)やBOA(Broadcasting of America)、RFA(Radio Freedom Asia)などのビルマ語放送を聴いたり、一部の人に限られるがインターネットのアクセスやテレビの視聴によって、ミャンマー国内の情報を得ている。またキャンプ内にあるVCD屋では、ビルマで作成されたアウン・サン・スー・チー氏を書記長とする国民民主連盟(NLD)など様々な団体の9月におきた反政府デモに関するVCDを1回2バーツで見ることができる。
難民5万人を擁するメラキャンプの住民リーダーのひとりは、こう話す。
「1988年の民主化運動に比べると、今回はヤンゴン中心で地方への広がりはなく、今回の反政府デモがきっかけとなって国境を越えキャンプに新しく入ってきた人はいません。ただミャンマー国内には、以前から国境を越えられずにいる国内避難民が相当数います。彼らはタイに入国したくても国境の警備が厳しく、困窮生活をおくっています。今回のデモをきっかけにおそらくミャンマー及びタイ政府は共に国境警備をより強化し、難民の流入はさらに押さえ込まれるでしょう」。
デモを取材中に治安部隊に射殺された長井健司さんについても、「日本人ジャーナリストが亡くなったことはとても遺憾に思います。彼は国境での取材にも非常に精力的でこのキャンプにも来られたそうです。彼を知っている人が何人もいます。とても熱心な方だったので残念です」と話した。
キャンプ内では、9月にミャンマー国内での僧侶への弾圧を知り、僧侶らが1時間ほどの集会を開いたが、それ以降は特別な動きはない。キャンプの治安管理を行っているタイ内務省の存在もあり、表立った活動は見られないが、難民たちは祖国の情勢に強い関心をもっている。
タイにいるミャンマー難民の多くは少数民族であるカレン族。その多くはキリスト教徒だ。彼らはミャンマー軍事政権の少数民族に対する人権弾圧や強制労働に抵抗し、自治権を求めて闘争を続けてきたため、現政権下での本国への帰還のめどはまったくない。
現在、難民に与えられた選択肢は、難民キャンプで暮らすか、第三国への定住だ。キャンプ内で生まれた子どもたちは外の世界を知らないまま成長している。キャンプでは外に出たり好きな職業に就く自由はないが、国連の保護のもと基本的な衣食住は提供される。一方、アメリカやオーストラリアなどへの第三国定住は、異文化のなかでの新しい生活を一から始めなければならない。子どもを抱える若い世代や知識・教養のある難民ほど第三国への定住を希望する傾向にあるが、キャンプに残される難民の高齢化、自治運営にかかわる問題も生じている。
しかし、ミャンマー国内の民主化が実現すれば、祖国に戻りカレン族の文化、コミュニティのなかでかつてのような自立した生活ができると期待する難民は多い。現在でも流出が続くミャンマー難民の根本的な問題解決は、第三国定住ではなく、ミャンマー国内において少数民族が平和に暮らせる日がくることである。
ある難民は、「私たちは難民として祖国を離れ、辛い思いをしてきました。このうえ外国に渡ってカレンの仲間から引き離されることはとても辛い。そしてもう新しい言葉を覚えられるほど若くはない。わたしはこの場所で、ミャンマーが民主化されるのを待ちたいと思います」と話している。
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SVAは、ミャンマー政府の武力行為を通じた問題解決を否定し、対話によるミャンマー国内の民主化が進められること、また難民が1日も早く祖国へ帰還の日を迎えられることを強く希求します。
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社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)
〒160-0015東京都新宿区大京町31慈母会館2・3階
TEL: 03-5360-1233 FAX: 03-5360-1220 E-MAIL: info@sva.or.jp URL: http://www.sva.or.jp
1981年より、タイ・ラオス・カンボジア・アフガニスタン・ミャンマー(ビルマ)難民キャンプにて、教育・文化支援活動に取り組む国際協力NGO。各地で常設・移動の図書館活動を展開している。
(c)社団法人シャンティ国際ボランティア会
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