【9月30日 AFP】オーストリアで29日に実施された国民議会選挙は、大連立を組む社会民主党(Social DemocratsSPOe)と国民党(People's PartyOeVP)がわずかに議席を減らしたものの過半数を確保し、このところ人気を落としている同連立は維持される見通しとなった。一方で、復活の気配をみせる極右・自由党(Freedom PartyFPOe)は躍進し、両党に迫る勢いを見せた。

 公式開票結果によると、ウェルナー・ファイマン(Werner Faymann)首相が率いる社民党の得票率は27.1%で、08年の前回選挙の29.3%から下がり、1945年以降で最悪となった。08年から社民党と大連立を組む保守・国民党の得票率も、08年の26.0%を下回る23.8%となった。

 一方、ハインツクリスティアン・シュトラッヘ(Heinz-Christian Strache)氏を党首に反移民とユーロ懐疑を掲げる自由党は前回の17.5%から21.4%へと得票を伸ばし、両党に迫る勢いを見せたが、1999年に故イエルク・ハイダー(Joerg Haider)党首(当時)のもとで達成した27%の記録には届かなかった。

 他には自動車部品大手マグナ(Magna)の創設者フランク・シュトロナハ(Frank Stronach)氏(81)が昨年設立した「チーム・シュトロナハ(Team Stronach)」が5.8%、親ユーロのリベラル新党「ニュー・オーストリア(New AustriaNEOS)」が4.8%を獲得し、共に初めて議席を獲得した。

 一方、極右・オーストリア未来同盟(Alliance for Austria's FutureBZOe)は得票率が議席確保に必要な4%に届かなかった。

 自らを汚職に巻き込まれることのない実用主義的環境派と位置付ける緑の党(Greens)は、前回の10.4%から11.5%へ得票率を伸ばしたが、期待されたほどの躍進はならなかった。

 欧州連合(EU)加盟国のなかでオーストリアの失業率は最も低い。だが有権者たちは、過去70年も政権を担いながら、08年以降は目立った成果を挙げていない2政党にとって代わる政党を求めたようだ。

 ウィーン大学(Vienna University)の政治学者マルセロ・ジェニー(Marcelo Jenny)氏はAFPの取材に、「過半数の幅がさらに小さくなった今後の議会は、非常に興味深いものとなる。法案を通過させるため3分の2以上の賛成が必要で、そのような状況は頻繁にあるため、彼ら(連立政権)は、さらに新たな連立相手が必要となるだろう」と語った。(c)AFP/Sim Sim WISSGOTT