【9月28日 AFP】1979年のイラン革命後初めて米国とイランの首脳が直接接触した27日の電話会談は、両国関係にとって劇的な瞬間だったとともに「デジタル外交」の分野でも突破口となりそうだ。

 米東部夏時間27日午後2時30分(日本時間28日午前3時30分)に始まった歴史的な15分間の通話は、6月の大統領選で欧米との緊張緩和と欧米による経済制裁の解除を目指すとの公約を掲げて勝利したイランのハサン・ロウハニ(Hassan Rowhani)大統領がもたらした外交的成果だといえる。

 イラン側によればこの重大な電話会談は、米ニューヨーク(New York)での国連総会(UN General Assembly)に出席したロウハニ大統領がイランへの帰国の途に就くため、リムジンで空港へ向かっていた際に行われた。米高官によれば両者は通訳を介し、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は英語で、ロウハニ師はペルシャ語で話したという。

 オバマ米大統領がこの電話会談についてホワイトハウス(White House)で発表する少し前に、ロウハニ大統領は、短文投稿サイトの米ツイッター(Twitter)上でこの会談について以下のツイートをしていた。

■両首脳がツイッターでやりとり

「In a phone conversation b/w #Iranian & #US Presidents just now: @HassanRouhani: 'Have a Nice Day!' @BarackObama: 'Thank you. Khodahafez,'」
(たった今の #イラン と #米大統領の電話で: @HassanRouhani: '良い一日を!' @BarackObama: 'ありがとう、 ホダハフェズ,')

「ホダハフェズ」はペルシャ語の別れのあいさつだが、直訳すれば「神のご加護がありますように」といった意味になる。

 ロウハニ師は今年の大統領選後にツイッターのアカウントを開設。その英語ツイートは外交関係改善を目指すイランの象徴になっている。今週の国連総会出席中、イラン大統領府はロウハニ師が行った演説や記者会見についてツイッターで情報を発信し続けた。本物のイラン大統領府のアカウントではないのではないかという疑念も、歴史的電話会談についてホワイトハウスよりも先に発表したことで払拭された。

■目の前でつくられる歴史

 その後、現時点で理由は定かでないが、いったん投稿された多くのツイートが削除された。しかし削除される前に大勢のインターネットユーザーがスクリーンショットを保存したり、リツイートしたりしたコメントは瞬く間に世界を駆け巡り、多くの人々を驚かせるとともに、今まさに歴史がつくられていることを感じさせた。

 ツイッターのディック・コストロ(Dick Costolo)最高経営責任者(CEO)は「ロウハニ師のツイートを読み、地政学的な情勢の構造的転換を目の当たりにしていると感じる」とツイートした。

 歴史的発表が自社のサービスを通じて行われたことについて、コストロCEOが祝意を表したいのは当然だろう。しかしそれ以外にも、コストロ氏の狙いはあったのかもしれない。ロウハニ大統領はコストロ氏のツイートをリツイートした。(c)AFP/David CLARK and Stephen COLLINSON