【9月26日 AFP】通常兵器の国際取引を規制する世界初の包括的ルールである国連(UN)の武器貿易条約(Arms Trade TreatyATT)に25日、米バラク・オバマ(Barack Obama)政権が署名した。

 米国内では反対意見もあり、批准に向けては今後上院で可決される必要があるが、米国の参加は同条約にとって大きな後押しとなりそうだ。

 米国は通常兵器の最大の輸出国で、900億ドル(約9兆円)規模とされる世界市場の30%を占めている。ATTは通常兵器がテロリストや紛争地帯に渡ることを防ぐことを狙っている。

 ニューヨーク(New York)の国連本部で条約に調印したジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官は、世界平和への取り組みにとってATTは「極めて重要な一歩」だと評した。

 4月2日に国連総会(UN General Assembly)で採択されたこの条約に反対票を投じたのは、イラン、北朝鮮、シリアの3か国だけだった。一方、中国、インド、ロシアを含む23か国が棄権した。ロシアは条文があいまい過ぎ、政治目的に利用される恐れがあると批判した。

 条約は「民間人を標的とする攻撃」など人権の侵害に使用される可能性のある兵器の輸出を禁止するよう加盟国に求めている。

 25日には世界第8位の兵器輸出国であるイタリアが国連加盟国で5番目、欧州連合(European Union)加盟国で初めてATTを批准した。批准国が50か国に届いたところで条約は発効する。(c)AFP/Shaun TANDON