【9月18日 AFP】北朝鮮の人権問題を調査するため国連人権理事会(UN Human Rights Council)が3月に設置した特別委員会は17日、北朝鮮の政治犯収容所で行われている「言葉にできないほどの残虐行為」を指摘する報告を行った。生存者の証言から、乳児が溺死させられたり、親族を目の前で殺されたり、ネズミなどを食べて飢えをしのいだりする実態が明らかになったという。

 マイケル・カービー(Michael Kirby)委員長は、北朝鮮から逃れた人々からの証言を聞き、政権内の人権侵害を行っている人物らのリストを作成することを目指していると述べた。「これまで得られた証言は、全ての領域において大規模で深刻な人権侵害が行われていることを示している」という。

 証言の中には、収容所内で生まれ育った男性が、ネズミやトカゲ、雑草などを食べて生き延び、自分の母親や兄弟が公開処刑されるのを目撃した、というものもあった。またある女性は、他の収容者が自分の赤ん坊をバケツの中で溺死させることを強制された、と語ったという。別の男性は、餓死した収容者らの遺体を焼き、その灰を野菜畑にまくよう命じられた。

 カービー委員長はまた、北朝鮮による拷問や性的暴行や、韓国人や日本人の拉致、政権の強力なプロパガンダ機構についても非難した。

 同委員会の目的は責任の追及や法の裁きを受けさせることではなく、なんらかの措置を取る責任は国際社会にある、とカービー委員長は述べた。これまでの調査では日本と韓国にいる脱北者らから証拠を得てきたが、今後は中国でも調査を行いたいとしている。北朝鮮は同委員会への協力を拒否している。

 証言は国連のウェブサイトで公表されている。(http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/CoIDPRK/Pages/CommissionInquiryonHRinDPRK.aspx)

(c)AFP/Jonathan FOWLER