【9月11日 AFP】日本政府は10日、福島第1原子力発電所周辺の地下水から高レベルの放射性物質を検出したとの東京電力(TEPCO)による9日の発表を受け、汚染水流出への対策強化の方針を改めて強調した。

 東電は9日、敷地内の井戸から採取したサンプルを調査した結果、発がん性のストロンチウムを含む放射性物質が確認されたと発表していた。専門家らによると、ストロンチウムは骨に蓄積される発がん性物質だ。

 東電の発表によると、1リットル当たり3200ベクレルという高い値の放射性物質が地下水から検出されたことで、タンクから漏れ出た汚染水が地下水に混入し、海に流出している可能性はさらに高まったという。

 菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官によると、政府は10日、福島原発の廃炉と汚染水の問題について協議し、国内外の専門家の知識を活用しながら、国際的な連携の強化について検討する方針を固めた。

 政府は約470億円の国費を投じて汚染水対策にあたることを決定したばかりだが、放射性物質が地下水にも漏出していることが確認されたことで、今後の対策がさらに困難になる可能性が出てきた。しかし、こうした状況の一方で菅官房長官は同日、福島沖で採取した海水サンプルからは危険なレベルの放射性物質は確認されなかったことを強調した。

 国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)は汚染水問題が「緊急の対応を必要とする非常に優先度の高い課題」であるとして、日本に調査団を派遣する方針を表明している。(c)AFP/Hiroshi HIYAMA