【9月10日 AFP】ブラジルのジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領は9日、米政府が「経済的、戦略的」目的でブラジル石油公社(ペトロブラス、Petrobras)に対するスパイ活動を行っていたと非難した。

 米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)によるオンライン通信傍受をめぐる新たな疑惑が浮上したのは8日。ブラジルのテレビ局グロボ(TV Globo)が、ブラジルの石油大手ペトロブラスが米グーグル(Google)やフランス外務省などとともにNSAの監視対象になっていたと報じた。

 ルセフ大統領は声明で「事実関係が確認されれば、このスパイ行為が安全保障のためでもテロとの戦いのためでもなく、経済的、戦略的利益のために行われていたことが明らかになる。疑いようもなく、ペトロブラスはいかなる国の安全保障も脅かしていない」と述べた。

 ブラジルのルイス・アルベルト・フィゲイレド(Luiz Alberto Figueiredo)外相は今週、米国でスーザン・ライス(Susan Rice)米大統領補佐官(国家安全保障担当)と通信傍受問題をめぐって協議する予定。

 ルセフ大統領は10月23日に米国を訪問する予定だったが、この問題を受けて、米国訪問はスパイ容疑に対する米国の対応次第になると表明した。

「ブラジル政府は、米政府から説明を求め、スパイ活動の可能性をきっぱりとなくすための具体的な行動を要求する決意だ」とルセフ大統領は9日、述べた。

 グロボの報道は、米当局の監視プログラムを暴露し訴追されたエドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者から機密情報を入手した英紙ガーディアン(Guardian)の記者グレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald)氏から提供された情報に基づいたものだという。

 米国のジェームズ・クラッパー(James Clapper)国家情報長官は、この疑惑に対して声明を出し、「米国は、他の多くの政府と同じように、外国の情報を収集している。これは市民の安全を高め、われわれと世界中の同盟国の利益を保護するためだ」と述べた。(c)AFP