【9月4日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が計画している対シリア軍事介入に向け、上院外交委員会公聴会は3日、超党派の武力行使容認決議修正案をまとめた。オバマ大統領は軍事介入を通じて、国際社会が化学兵器を決して容認しないという警告をアサド政権やイランのような国に示したい考えで、議員たちはこれを支持する方向で足並みをそろえ始めた形だ。

 前月シリアの首都ダマスカス(Damascus)郊外で起きた化学兵器による攻撃に対し、オバマ大統領は限定的な軍事行動によるシリア内戦への介入を決断し、議会の承認を求める考えを表明した。これを受けて3日に開かれた米上院外交委員会公聴会でジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は、「行動しない孤立主義」に陥るべきではないと熱弁。この後、議員らは4時間近くに及ぶ議論の末、超党派の武力行使容認決議修正案をまとめた。この修正案はオバマ大統領が示した案よりもさらに米軍の展開を限定する内容となっており、シリアに対する軍事介入の期間に制限を設け、当面は60日、議会の承認があった場合にのみ30日の延長を可能としている他、戦闘目的の地上軍の派遣を禁じている。

 3年目に突入したシリア内戦では、これまでに11万人以上が犠牲となっている。

 ケリー長官は公聴会で「行動しない孤立主義の時ではない。殺りくの傍観者となっている場合ではない。わが国も、そして我々の良心も沈黙による犠牲を許すことはできない」と述べてシリアに対する軍事介入への支持を訴えた。またシリアを黙って見逃せば、イランや北朝鮮といった核開発計画が疑われている国々がそれを注視しているとも警告した。

 オバマ大統領が、化学兵器の使用は「レッドライン」(越えてはならない一線)だと明言している中、チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)国防長官も、たった今、行動しなければ国際社会における米国の信用は失墜すると主張。「米国の言葉は必ず意味を持つ。それは外交の場、そして国際社会、同盟国間における基軸通貨だ」と強調し、ケリー長官の訴えに続いた。

 オバマ政権高官らのこうした呼び掛けに対し、国内問題では政権と冷ややかな関係にある共和党の2議員、ジョン・ベイナー(John Boehner)下院議長とエリック・カンター(Eric Cantor)下院共和党院内総務も、オバマ大統領を支持する考えを表明した。ベイナー氏は「米国は国家として行動する必要がある」と述べ、他の共和党議員にも自分の後に続くよう呼び掛けた。

 しかし他国の紛争に再び足を踏み入れることに対し、3日に発表された2つの世論調査の結果は強い反対を示している。米独立系世論調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が行った軍事介入に関する調査では、「米軍による空爆の実施」に約48%の米国人が反対、賛成は29%にとどまった。また米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)とABCテレビの共同調査でも、約60%の回答者が、ミサイル攻撃に反対している。(c)AFP/Jo Biddle, Michael MATHES