【8月30日 AFP】北朝鮮を訪れていたニュージーランドのバイク旅行者5人が29日、厳重な警備が敷かれている南北の軍事境界線をバイクで通過し、韓国に入った。この軍事境界線は、世界中に唯一残されている冷戦時代の国境ともいえる。

 バイク旅行者の一行はロシアのマガダン(Magadan)を出発し、北朝鮮の白頭山(Mount Paektu)山から朝鮮半島(Korean peninsula)を走る山の尾根を通って韓国の漢拏(ハルラ、Halla)山を目指す9000キロの旅の途中だった。

 1950~53年の朝鮮戦争以降、韓国、北朝鮮ともに両国の軍事境界線がある非武装地帯(DMZ)の通過を外国人に認めるのは異例のことで、通常は中国・北京(Beijing)を経由する航空便を使う以外の方法はない。今回の許可は、両国政府が緊張の緩和に向けた努力を進めようとしているタイミングと重なったことによるところが大きいとみられる。韓国と北朝鮮は、3年間にわたって中断していた離散家族の再会事業を再開することで合意したばかりだ。

 5人のバイク旅行者の中で唯一の女性で、約2週間にわたってスズキ(Suzuki Motor)の650ccのバイクに乗り北朝鮮国内を旅したジョー・モーガン(Jo Morgan)さんによると、一行はどこに行っても歓迎されたという。

 軍事境界線を越えて韓国に入ったモーガンさんは記者団に対し、「(北朝鮮の人たちは)すばらしかった。皆手を振って見送ってくれた」と語った。

■北朝鮮メディアも一行の動きを報道

 北朝鮮の朝鮮中央通信(Korean Central News AgencyKCNA)も28日、一行の動きを短く伝えている。

 KCNAによると、一行は北朝鮮の建国の祖である故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)主席の出生地の万景台(Mangyongdae)を訪問。「革命家としての金日成主席とその家族の生活について説明を受け・・・手の行き届いた古い住宅に保存されている歴史的遺物を見て回った」という。(c)AFP