【8月7日 AFP】東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所から放射性汚染水が海洋に流出している問題で、菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は7日、政府が対策の強化に乗り出すことを明らかにした。汚染水流出に対しては、東京電力の対応を非難する声が上がっている。

 菅官房長官は同日の記者会見で、汚染水の封じ込め対策は廃炉に向けた重要な過程と述べ、安倍晋三(Shinzo Abe)首相が経済産業省に早急な対策および国費の投入を指示する見通しと語った。この問題で国費が充てられるのは初めてとなる。

 日本政府は5月、東京電力に対し、原子炉の冷却に使われた汚染水を封じ込めるため、周囲に遮水壁を設置するよう指示していた。設置には最高400億円の費用が見込まれている。

 菅官房長官はまた、「これだけ大規模な遮水壁は世界でも例がなく、国も一歩前に出て推進する必要がある」と述べた。2011年3月に起きた過去数十年で最悪の原子力発電所事故で、東京電力はすでに膨大な事故費用や賠償コストに直面している。

 一方、国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)は6日、声明を発表し、汚染水の流出悪化が東京電力に事故対応能力がないことを示していると述べ、国が介入して汚染水流出防止の対策をとらなければならないと呼び掛けた。

 環境省・原子力規制委員会(NRA)はこれまでに、汚染水海洋流出の調査と海洋への影響を調査する2つのチームを設置することを発表している。また2日には東京電力に汚染水対策を前倒して行うよう求めていた。(c)AFP