【8月5日 AFP】イランのハサン・ロウハニ(Hassan Rowhani)新大統領(64)は4日、首都テヘラン(Tehran)の国会で就任宣誓を行った。

 宣誓後の演説でロウハニ大統領は欧米諸国に向けて、イランと交流する唯一の手段は対話であって経済制裁ではないと呼びかけた。

 また自身の目的は、ウラン濃縮活動の停止を拒否したために米国や欧州連合(EU)がイランに科した制裁によって「多大な経済的な圧力」に苦しむイラン国民の生活向上にあると語った。

 その一方でロウハニ大統領は「相互信頼と建設的な交流を築いて」緊張緩和への道を歩むとし、「イランは一度も世界と戦争をしようなどと考えたことはない」と言明した。

 こうしたロウハニ大統領の演説内容は、痛烈なイスラエル批判と挑発的な言葉遣いで終始、国際社会から非難を浴びたマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)前大統領とは対照的だ。

■外相人事は核交渉の所管変更の布石か

 演説の後、ロウハニ大統領は、国会に閣僚名簿を提出。閣僚はほぼ男性で占められた。その多くは、ロウハニ大統領の助言者でもあるアリ・アクバル・ハシェミ・ラフサンジャニ(Ali Akbar Hashemi Rafsanjani)元大統領に近い経験豊かな実務者たちだ。

 閣僚名簿には、外相に指名されたベテラン元外交官モハマド・ジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)元国連大使や、米ジョージ・ワシントン大学(George Washington University)で経済学の博士号を取得し米国の永住資格を持つモハマド・ナハバンディアン(Mohammad Nahavandian)氏の名もある。ナハバンディアン氏は経済政策の調整で中心的な役割を果たすものとみられる。

 ザリフ氏の外相起用に、メディアの間ではロウハニ大統領が核交渉を直接指揮できるよう核交渉を外務省の所管に移すのではないかとの見方が強まっている。(c)AFP/Mohammad DAVARI