【7月27日 AFP】エジプト当局は26日、武装集団による警官の殺害に関与し、囚人多数を脱獄させたとして、ムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)前大統領の身柄を正式に拘束した。同国各地では、モルシ氏の復権を求める支持派と反対派の双方による大規模なデモが行われ、衝突により5人の死者が出ている。

 エジプト当局は、裁判所命令に従い、モルシ氏を延長可能な15日間の拘束下に置いた。これにより、首都カイロ(Cairo)などの都市で行われた反モルシ派と支持派の間では、いっそう緊張が高まった。中東通信(MENA)によると、地中海沿岸のアレクサンドリア(Alexandria)ではデモ隊同士が衝突し、5人が死亡。機動隊も介入し、少なくとも72人が負傷した。医療当局と保健省によると、カイロ市内での衝突でも10人が負傷した。

 カイロのタハリール広場(Tahrir Square)や大統領宮殿前には、当局による「テロリズム」の取り締まりへの支持を示すよう訴えたアブデルファタフ・サイード・シシ(Abdel Fattah Said al-Sisi)第1副首相兼国防相の呼び掛けに応え、数十万人の反モルシ派が集まった。

 モルシ氏は、ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)元大統領が失脚した2011年の民衆蜂起の際、警官が殺害された襲撃をパレスチナのイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)の武装集団と共謀し、囚人らの脱獄に関与した疑いで拘束された。

 当時モルシ氏が属していたイスラム主義組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)」は2011年1月27日、ムバラク政権に対する蜂起に加勢すると発表。モルシ氏とその他の幹部らはその数時間後、当局に身柄を拘束されたが、後に脱獄した。

 中東通信によると、モルシ氏には、囚人や当局者、兵士の計画的殺害や、当局者と兵士の誘拐、そして自身を含む囚人らを脱獄させた疑いが掛けられている。(c)AFP/Samer AL-ATRUSH