【7月19日 AFP】米独立系世論調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)が世界39か国・地域で行った国際世論調査で、将来は中国が世界一の大国になると考える人が増えている一方、世界の大半の地域では米国の方が良いイメージを持たれていることが明らかになった。

 18日発表された2007年以来となる大規模な調査の結果によると、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の就任で高まった米国の評価は現在でも、反米感情の強いイスラム諸国を除き高いままだった。

 一方、中国に対する批判は東アジアや欧州を中心に強まっているものの、「今はまだ多くの国で世界一の大国は米国だとみなされているが、大半の人々はいつか中国があらゆる面で超大国として世界の先頭に立つと考えている」ことも分かった。特に西欧では、米国人気がとりわけ高いイタリア以外の全ての調査対象国で、「世界をリードする超大国」として中国が米国を抜きつつあるか、既に抜いていると考える人が多かった。

 しかし人気の面では、米国に好感を持つ回答が世界全体で63%を占め、中国の50%を上回った。しかも反米感情が広範にみられる国々でも、米国民に対する好感度は高く、また米政府は国民に個人の自由を認めていると大半の人が考えていた。

■好感度、日本は米国に高評価・中国に低評価

 国別にみると、米中両国に対する認識はさまざまだった。

 米国に対する好感度が最も高かったのは、中国との領土問題が持ち上がっている日本だった。69%の人が米国に好感を持っていると答えた一方、中国に好感を持つ人はわずか5%で、どの調査対象国よりも低かった。

 反対に、米国に対する好感度がわずか11%にとどまったのはパキスタンで、同国政府が後ろ盾とみなす中国については81%の人が好感を示した。

 また、アジア太平洋地域の国々は大方が米国に好意的だったが、将来の予測となると見方が分かれた。中国が第一の超大国になると考える回答者はオーストラリアでは3分の2を占めたが、日本とマレーシア、フィリピンでは3分の1を下回った。

■文化面、外交面での主導権は遠い中国

 エコノミストらの大半は、米国の4倍を超える人口を擁する中国が、経済規模で米国を抜くのは時間の問題で、数年以内だと考えている。しかし文化や外交などで世界的な勢力を擁する米国に中国がすぐに追いつくという見解には、多くの専門家が懐疑的だ。

 今回の調査では、中国の技術的進歩はほとんどの国で高く評価されていたが、中国の音楽や映画に対する関心があるのは中南米やアフリカの国々に限定された。

 欧州ではここ2年間で中国に対して好印象を持つ人が大きく減っており、英国では11ポイント減、フランスでは9ポイント減となった。この傾向は「商業上の競争相手としての中国に対する不安」や「外交における中国の単独主義に対する欧州諸国の不満」に由来するとピュー・リサーチ・センターは分析している。

 今回の調査は、欧州に怒りを巻き起こした米政府による監視プログラムの存在の暴露や、エジプトの軍事クーデターが発生する前の3~4月に実施された。(c)AFP/Shaun TANDON