【7月4日 AFP】(写真追加)ベルギー国王のアルベール2世(King Albert II、79)は3日、国民に向けたテレビ演説で、高齢と健康状態を理由に退位する意向を表明した。

 約20年間在位したアルベール2世は今月21日の建国記念日に退位し、フィリップ皇太子(Prince Philippe、53)が次の国王に即位する。国王がフィリップ皇太子への譲位の準備を進めているとかねて報じられていた。

 レオポルド3世(King Leopold III、1901~1983)とアストリッド・ド・スエード(Astrid of Sweden)妃(1905~1935)の次男として生まれたアルベール2世は、元々国王に即位する予定はなかったが、世継ぎがいなかった兄のボードワン前国王(King Baudouin)が1993年に死去したことを受けて即位した。

 国王が自らの意志で退位を表明するのはベルギー史上初めて。同国は1831年にオランダから独立した。

■大きな政治的役割を果たす

 物静かで控えめなアルベール2世は、フラマン系の裕福な北部と、フランス語を話す比較的貧しい南部との間で深く二分された小国ベルギーで、大きな政治的役割を果たした。

 2010年から11年にかけては、世界最長記録となる541日間の政府空白が続いた同国の厄介な政治家たちを説得し、合意を結ばせることに成功した。

 ベルギーの近代史で最も厳しい時期となったこの18か月間でアルベール2世が見せた交渉力は、フラマン地域の分離独立を目指す新フランドル同盟(N-VA)からの称賛を受けた。N-VAは来年の選挙で大幅な議席増を目指している。

 フィリップ皇太子は国王としての才覚に欠けると懸念する声も多い。アルベール2世は、政治危機を招く恐れもある来年の選挙を前にフィリップ皇太子が名を上げるための十分な期間を設けたかったのではないかとアナリストらは分析している。(c)AFP/Claire ROSEMBERG