【7月1日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は30日までに、「同性愛のプロパガンダ(宣伝)」行為に罰金を科すことを定めた法案に署名、同法は成立した。露政府が同日、公報で明らかにした。

 プーチン大統領はまた、宗教信者の感情を害した者に禁錮刑と罰金を科す法案にも署名し、同法を成立させた。反プロパガンダ法とともに論争の的となっている同法は、昨年に首都モスクワ(Moscow)のロシア正教会聖堂でプーチン大統領を批判する歌を演奏した女性パンクバンド「プッシー・ライオット(Pussy Riot)」の事件を受けて制定されたものと受け止められている。

 人権擁護団体や西側各国の政府は、昨年にプーチン大統領が再任して以来、前例のない状況にまで拡大している反対意見弾圧の一環だとして、2法案を批判している。

 反プロパガンダ法では、「非伝統的な性的状況を作ることを狙った」情報、または同性愛と異性愛の関係が「社会的に同等」であるという「歪んだ理解」を持たせる情報を、未成年者に広めた者に対し、最大5000 ルーブル(約1万5000円)の罰金を科している。

 また当局者に対しては、そのような「プロパガンダ」がマスメディアやインターネットを通じて広められた場合、最大20万ルーブル(約60万円)の罰金が科される。外国人は罰金の対象になるだけでなく、最大15日間の身柄拘束と、国外退去の処分が科せられる恐れがある。また団体には、最大100万ルーブル(約300万円)の罰金と、90日間の活動停止処分が科される。

 反対派は法案が同性愛嫌悪的だと主張し、罰則対象の定義が曖昧であるため独断的に利用される恐れや、国内の反同性愛感情を助長させる恐れがあると批判している。

 露独立系調査機関レバダ・センター(Levada Center)が4月に行った調査では、ロシア人の39%が同性愛者は異性愛者と同じ権利を付与されるべきと答えたのに対し、47%が反対の立場を示した。(c)AFP/Maria ANTONOVA