【6月25日 AFP】米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)よる個人情報収集プログラムの存在を暴露してスパイ行為などの罪で訴追された米中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者(30)は24日、搭乗予定だったキューバ行きの露アエロフロート(Aeroflot)機に乗らず、モスクワ(Moscow)で姿を消した。元職員はキューバ経由でエクアドルに亡命するとみられていた。

 ロシア当局の複数の情報筋によれば、23日に香港(Hong Kong)からモスクワのシェレメチェボ(Sheremetyevo)国際空港に到着したスノーデン元職員は、その夜を空港内のかなり質素な「カプセルホテル」で過ごしたという。

 スノーデン元職員は、内部告発サイト「ウィキリークス(WikiLeaks)」の活動家、サラ・ハリソン(Sarah Harrison)氏と共に24日午後2時5分(日本時間同日午後7時5分)発のキューバ・ハバナ(Havana)行きアエロフロート機に乗る予定で、航空会社筋によるとチェックイン手続きまで済ませていた。しかし、スノーデン元職員は姿を見せず、同機は取材に押し寄せた多くのジャーナリストだけを乗せて飛び立った。同機に搭乗したAFP特派員によると、元職員が座る予定だった座席「17A」は空いたままだった。

 ロシアのインタファクス(Interfax)通信は情報筋の話として、「スノーデン元職員は違う便に乗ってすでにロシアを後にした可能性が高い」と伝えた。

 スノーデン元職員が23日にモスクワの空港に到着してから一度も公の場で目撃されていないことも、謎を深めている。ロシアのタス通信(ITAR-TASS)は、元職員がまだトランジットエリア内にいるとする空港関係者の話を伝えている。

 一方、エクアドルのリカルド・パティニョ(Ricardo Patino)外相は、同国政府がスノーデン元職員からの亡命要請を検討中であることを認めている。エクアドルは、ウィキリークスの創設者、ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)容疑者を英ロンドン(London)の大使館に滞在させている。

 アサンジ容疑者はロンドンで開いた電話会見で、スノーデン元職員は「安全な場所におり、元気にしている」と述べている。(c)AFP/Stuart WILLIAMS, Anna SMOLCHENKO