【6月21日 AFP】ブラジルで、公共交通機関の運賃値上げをきっかけに始まった反政府デモが激化している問題で、20日も複数の都市で、公共サービスの改善を求め、来年のサッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)への必要以上の税金投入に反対する新たなデモが発生した。

 同国2大都市のサンパウロ(Sao Paulo)とリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)の市当局は19日、運賃値上げ撤回を発表し、デモ隊側に大きな勝利をもたらしたものの、鎮静化にはつながらなかった。

 ソーシャルメディア上でデモへの参加を表明した人は、全国80都市で100万人以上に上っている。約2週間前に始まった抗議運動は、ここ20年に同国で起きたものとしては最大規模にまで拡大し、収束の気配を見せていない。

 運賃値上げへの抗議は、現在開催中のコンフェデレーションズカップ(Confederations Cup)と来年開催されるW杯ブラジル大会に150億米ドル(約1兆4600億円)が支出されることに対する怒りも相まって、政府の腐敗した政策を阻止しようとする大きな動きへと発展してきた。

 ブラジルで起きたこの民衆による反政府行動を、北アフリカと中東の民主化運動「アラブの春(Arab Spring)」や、トルコで現在も継続中の反政府デモと比較する声も上がっているが、ブラジルのデモは政争の色合いを帯びたものではなく、はっきりと特定できる指導部も存在しない。

 同デモはソーシャルメディア上で活発な意見交換のテーマとなっている。「運賃値上げは撤回された。しかし誰がデモを止めると言った?」という書き込みもあった。問題になったバスの値上げ幅が20センターボ(約10円)だったことから、「『たった20センターボ』以上の問題だ」というスローガンが掲げられ、インターネット利用者が新たなデモを企画実行した。

 W杯開催を批判するデモ隊は、現在開催中のコンフェデレーションズカップの決勝戦を迎える30日、リオデジャネイロにあるシンボル的なマラカナン・スタジアム(Maracana Stadium)へ向けた大規模なデモ行進を計画している。(c)AFP/Laura BONILLA CAL