【6月18日 AFP】主要8か国(G8)首脳会議が17日、英国・北アイルランド(Northern Ireland)のロックアーン(Lough Erne)で開幕した。まず欧米首脳がロシアに対し、バッシャール・アサド(Bashar al-Assad)シリア大統領への支援をやめるよう圧力を強め、冒頭からシリア内戦が中心議題となった。

 ロシアは欧米諸国が反体制派支援のためシリア上空に飛行禁止空域を設けようとしている動きをけん制した一方、英国のデービッド・キャメロン(David Cameron)首相は和平会議開催に向けた進展を促した。

 シリア政権側が化学兵器を使用したことが確認されたとして、米国が反体制派に軍事支援を行うと表明したことで、今や米国とロシアがシリア内戦で対立する双方にそれぞれ軍事協力する形となっている。

 キャメロン英首相は当初今回のサミットで、課税逃れと多国籍企業の透明性強化に向けた動きに焦点を当てたい考えだったが、シリア内戦が他のどの議題よりも最優先される可能性が出てきた。キャメロン氏は、17日後半の会議の重点をシリア問題の討議に据えたのは、和平会議をスイス・ジュネーブ(Geneva)で確実に今年中に開催するためだと述べた。

■米欧は自由貿易協定の正式交渉開始を発表、英情報収集疑惑にも注目集まる

 明るい要素としては、欧州連合(EU)と米国が世界最大の自由貿易協定の正式な交渉開始を発表したことが挙げられる。停滞する世界経済の成長を後押しし、雇用を拡大することを狙いとしている。

 サミット開幕前日の16日には、米政府による国民監視プログラムを暴露したエドワード・スノーデン(Edward Snowden)氏が公開した文書に基づき、2009年にロンドン(London)で開かれた主要20か国・地域(G20)会議出席者を対象に英国政府が情報収集活動を行っていたとみられるという報道が出た。

 これに関連し、ロックアーンに集まった各国首脳に対して同様の活動を行っていないと確約できるのかという問いを受けたキャメロン英首相は、「保安や情報収集に関わる事柄については一切コメントしないことになっており、ここで私が話し始めるはずもない」とかわした。(c)AFP/Guy JACKSON