【6月11日 AFP】電話からソーシャルメディア上のチャットまで、情報収集活動が開始から10年以上に及ぶ、米政府により行われている広範囲での監視の概要が暴露された。

「テロとの戦い」の一環として、米政府の広大な情報収集機構がいかなる通話やオンライン通信にもほとんど制限なくアクセスしているだろうとは、デジタル活動家やコンピューター・ネットワークの専門家が長年推測してきたことだ。

 しかし今週、英紙ガーディアン(Guardian)と米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は、2001年の米同時多発テロをきっかけに、以前は国外での盗聴と暗号解読に専念していた米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)による前例のない国内での捜査網が生み出されていたという驚くべき事実を暴いた。

 米政府による国内監視プログラムとそれを承認した法律の概要は次のようなものだ。

■通話情報による「データマイニング」

 米同時多発テロ後、当時のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領はNSAに対し、米国内で広範囲に及ぶ電子監視を実施することを許可した。監視対象にはテロリストと疑われる人物と米国民の間の通話が含まれていた。

 2005年にブッシュ政権は電話事業者に対し、顧客の通話情報の提出を命じた。次いでNSAがこの通話記録について徹底的に、テロ容疑者によるテロ計画の可能性を示す通話パターンを解析した。

 2011年に改定されたこの監視プログラムの下、当局は3か月ごとに、秘密裏に運営されている外国情報活動監視裁判所(Foreign Intelligence Surveillance Court)に情報収集活動の令状を請求しなければならない。この令状によって調査できるのは発生時間や長さを含む通話記録の「メタデータ」で、会話の内容そのものではないと、米当局は述べている。

■インターネット監視

 NSAと米連邦捜査局(FBI)は米インターネット企業大手9社の中枢サーバーから直接、情報を収集していた。電子メールや文書、動画、ソーシャルメディア上の投稿やオンライン上の写真などの24時間監視が可能だ。

 対象となっていた企業は、マイクロソフト(Microsoft)、ヤフー(Yahoo)、グーグル(Google)、フェイスブック(Facebook)、パルトーク(Paltalk)、AOL、スカイプ(Skype)、ユーチューブ(YouTube)、アップル(Apple)の9社とされている。ワシントン・ポストによれば、「PRISM(プリズム)」と呼ばれているこの極秘プログラムは2007年から運営されている。

 当局の要請に最初に応じたのはマイクロソフトで、アップルも昨年同意したと報道されている。NSAのアナリストらは、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)との関連を明らかにしうる単語を探して、膨大なデータをふるいにかけることができる。

 もう1つの監視プログラムは「ブラーニー(BLARNEY)」と呼ばれており、機器の識別記号やアドレスパケットといったインターネット技術の重要データを片っ端から収集する。

 さらに、NSAはクレジットカード会社のデータにも同様のアクセスをしていると米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)が報じている。

■デジタル盗聴関連法

 1994年に当時のビル・クリントン(Bill Clinton)大統領は、通信事業者に監視を可能にするような設備の変更を要請する法案に署名。当局はより容易にデジタル電話網の盗聴ができるようになった。

 2005年には、米連邦通信委員会(Federal Communications CommissionFCC)がこの法律の適用範囲をインターネット上のデータにまで拡大し、ブロードバンド事業者には強制的に政府がIP電話の盗聴を行えるようにさせた。

■根拠となっている「愛国者法」

 インターネット企業のサーバーから情報を収集している監視プログラム「プリズム」は、米企業に対して業務記録の提出を秘密裏に要請する裁判所命令を認める米国愛国者法(Patriot Act)第215条に基づいている可能性が高い。政府はこの第215条の秘密裏の解釈に依拠しているとみられるが、2年前に同法が再認証された際、一部の米議員らはこの解釈について不安視していた。(c)AFP/Dan De Luce