【6月8日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は7日、ここ2日間の報道で明るみになった米情報機関の監視プログラムについて、米国民に対し「誰もあなたの通話内容を聴いてはいない」と述べ、同プログラムを強く擁護した。

 オバマ大統領はまた、国家の安全保障と個人のプライバシー保護には両立しない点があるが、両者のバランスを保つための明確な境界線については、公に論じられるべきだと語った。

 同大統領は、米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)による、電話番号などのデータの収集活動は、何度も議会で承認され、特別法廷により監督されているものだと主張し、プログラムに関する「誇大報道」を非難した。

「誰もあなたの通話を聴いていない。それはこのプログラムの目的ではないのだ」とオバマ大統領は語り、情報員が通話内容を聴くには連邦判事の許可が必要だと述べた。

 また「PRISM(プリズム)」と呼ばれる別のプログラムについては、外国のテロリストを対象にし、米インターネット大手企業9社のサーバーからデータを収集するもので、米国内に住む人々を対象にしたものではないと説明した。

 英紙ガーディアン(Guardian)と米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)が報じたこれら2つのプログラムについて、人権擁護団体やプライバシー保護団体は「オーウェル的(全体主義的)」であり、違憲の可能性があると警鐘を鳴らしている。

 同大統領は同問題が公に論じられることを歓迎するとした上で、これらプログラムがこれまで極秘扱いだったのは、米国の敵側への情報流出を防ぐためだったと注意を促した。「100%の安全保障と100%のプライバシーを両立させるのは無理だということを理解するのが重要だ。われわれは、社会として選択をする必要がある」(オバマ大統領)

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