【6月6月 AFP】安倍晋三(Shinzo Abe)首相は都内で5日に行った講演で、経済政策「アベノミクス(Abenomics)」の成長戦略第3弾を発表。国内投資を倍増して「1人当たりの国民総所得」を現在の水準から30%以上引き上げ、規制改革を進めて日本を「世界経済復活のエンジン」とすると約束した。

 安倍首相は、インフラ整備、医療、エネルギーなど成長が見込める分野で規制緩和を進めて投資を増やし、「成長の好循環」を作ると言明。「この成長シナリオを実現できれば、1人当たりの国民総所得は足元の縮小傾向を逆転し、最終的には年3%を上回る伸びとなる」「10年後には、現在の水準から150万円以上増やすことができると考えている」などと述べた。

 また、「国家戦略特区」構想で海外資本を呼び込み、インターナショナルスクールの設置や外国人医師の診療に対する規制を緩和するなどして、東京を米ニューヨーク(New York)や英ロンドン(London)と並ぶ世界経済のハブとしたいとの考えも表明。さらに、民間投資を70兆円以上に回復し、2020年に外国企業の対日直接投資残高を2倍の35兆円に、インフラ輸出を30兆円にそれぞれ拡大するとの目標も示した。

 これでアベノミクスの「3本の矢」が出そろったことになるが、評論家などからは「目標を並べただけで、どのように達成するのかロードマップが示されていない」といった指摘も出ている。JPモルガン証券(JPMorgan Securities Japan)の足立正道(Masamichi Adachi)氏は米ダウ・ジョーンズ・ニューズワイヤーズ(Dow Jones Newswires)に、意味のない数字の羅列であり、どうすれば達成可能なのか分からないとの見方を語った。

 発表後の東京株式市場は、日経平均株価(Nikkei 225)が3.83%急落し、2か月ぶり安値となる1万3014円87銭で引けている。(c)AFP/Hiroshi Hiyama