【5月29日 AFP】ロシアは28日、シリア政府に高性能対空ミサイル「S300(S-300)」を供与すると発表した。各国からの非難をよそに発表されたこの決定に、シリアで続く内戦の拡大を懸念する声がいっそう高まっている。

「S300」は、航空機や、北大西洋条約機構(NATO)がシリアのトルコとの国境に配備している「パトリオット(Patriot)」のような他の地対空ミサイルを迎撃することが可能。ロシアは今回のミサイル提供は既存の契約の一部だとしている。

 ロシアのセルゲイ・リャプコフ(Sergei Ryabkov)外務次官は、「このミサイル提供が安定化要因になるとわれわれは考えている」と語り、同時に外国からの介入に対する抑止力ともなりうると付け加えた。

 ロシアのこの発表に対してイスラエルは、もしロシアが実際にミサイル供与を行えば、対抗措置を講じると警告した。

 これらの動きは、欧州連合(EU)が27日にシリア反体制派に対する武器禁輸の解除を決定したことで増した緊張を、さらにあおる形となった。

 シリア政権側は、支援国のロシアとともに、このEUの決定を和平努力に対する「妨害行為」と非難。「テロリスト」を支持・奨励しているとして批判した。

一方の米国は、EUの決定は反体制派に対する「全面協力」を示すものだとして、武器禁輸解除の決定を支持すると表明。だが米国はこれまでに、過激派の手に武器がわたる危険があるとして、武器提供は行わないとしている。(c)AFP