【5月10日 AFP】イスラエル政府は9日、パレスチナ自治区ヨルダン西岸(West Bank)ラマラ(Ramallah)近郊のユダヤ人入植地で新たに約300戸の住宅建設計画を承認したことを明らかにした。これを受けパレスチナ側は同日、和平協議再開に向けた米国の動きを妨害するものだとイスラエル政府を非難した。

 数日前には、イスラエルとパレスチナを再び交渉の場につかせるべく中東訪問を予定しているジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官に配慮し、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相がヨルダン西岸における新規住宅建設の入札凍結を命じたと伝えられたばかりだった。

 国防省のヨルダン西岸管轄部隊報道官はAFPに対し、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地ベイトエル(Beit El)に新規住宅296戸の建設が承認されたと認めた。今回の承認はベイトエル郊外ウルパナ(Ulpana)地区の無許可入植地からのユダヤ人住民撤退命令の代替政策として、すでに昨年決定していたものだという。

 だが、パレスチナ側の交渉責任者サエブ・アリカット(Saeb Erakat)氏は、住宅建設を承認するイスラエルの動きは、2010年以降、途絶えている直接対話の再開にイスラエルは関心がないことを示す米政府への明確なメッセージだと主張した。

 一方、8日に伊ローマ(Rome)でケリー長官と会談したイスラエルのツィピ・リブニ(Tzipi Livni)法相はイスラエル軍ラジオ放送で、新規住宅建設の承認については既に米国側に通知してあると述べ、「米国側も理解を示し、この件について特に反応はなかった」と語った。

 ケリー長官は21日か22日にイスラエルとパレスチナを訪問し、ネタニヤフ首相とパレスチナのマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)自治政府議長との会談に臨む。ケリー長官のイスラエルおよびパレスチナ自治区訪問は4度目。(c)AFP/Jean-Luc Renaudie