【5月1日 AFP】アラブ連盟(Arab League)は4月30日、中東和平に向けて2002年に採択した和平イニシアチブで示した条件を緩和し、イスラエルとパレスチナの国境画定で土地交換に応じる姿勢を示した。

 2002年2月にサウジアラビアで発表されたこの和平イニシアチブでは、イスラエルが占領地から「1967年6月4日時点の境界線まで完全撤退」し、さらにパレスチナ国家を樹立して初めて、アラブ連盟に加盟する22か国がイスラエルと関係正常化するとしていた。しかしアラブ連盟は29日、現実を考慮して「同等で双方が合意する小規模の土地交換」に応じる可能性があると述べた。

 この方向転換の提案詳細は、米首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)で行われたアラブ連盟代表団とジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官の会談後に明らかになった。

 イスラエルのツィピ・リブニ(Tzipi Livni)法相はこの動きを「重要な一歩」と表現し、2010年9月に再開しながらわずか数週間で行き詰った中東和平直接交渉の再開につながることを期待すると述べた。またケリー米国務長官も、リブニ氏同様「非常に大きな前進」と評価した。

 これに対し、パレスチナ側の交渉責任者サエブ・アリカット(Saeb Erakat)氏は、「これは何も新しいことではない。アラブ連盟代表団が示したのはパレスチナ側の公式な立場にすぎない。つまり、パレスチナが主権国家であること、および1967年時点の境界線によるパレスチナとイスラエルの2国家併存をイスラエルが認めれば、面積・質ともに同等で、地理的に同じ地域にあり、パレスチナの利益を阻害しない条件で双方が合意した土地について、小規模な国境線の変更を検討する余地がある、という立場だ」と述べた。(c)AFP/Hazel WARD