【2月27日 AFP】英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)は26日、イランのアラク(Arak)にある重水製造施設が稼働可能な状態にあることが衛星画像で明らかになり、イランが核兵器に使用するプルトニウムの製造を試みているという懸念が高まっていると報じた。

 同紙は、強制空冷装置から蒸気が上っている様子を示す衛星画像をウェブサイトに掲載し、この施設で重水が製造されている可能性を示すものだとしている。国際査察団による同施設の査察は18か月間行われていない。

 重水はプルトニウムを製造する原子炉で必要となるため、イランが核兵器を取得するための第2の道を模索しているとの疑いが浮上している。

■イスラエルを刺激する恐れ

 国連安全保障理事会(UN Security Council)常任理事国にドイツを加えた6か国とイランは26日、カザフスタンでイランの核開発をめぐる協議を行い、相互に提案を示した。

 国際社会はこれまでイランのウラン濃縮に重点を置いてきたが、同紙は今回の衛星画像はイランが「第2案」を進めていることを示していると指摘した。同紙によると、欧米各国政府はしばらく前からアラクの重水施設における活動を察知していたという。

 プルトニウムは使用済み核燃料に含まれており、再処理施設で抽出すれば核兵器製造に使うことができる。北朝鮮は最近この技術を開発している。

 英シンクタンク、国際戦略研究所(International Institute for Strategic StudiesIISS)のマーク・フィッツパトリック(Mark Fitzpatrick)軍縮・核不拡散プログラム部長は、イランが北朝鮮の動きに続けば、イスラエルがアラクの施設の攻撃に踏み切る恐れもあると指摘した。(c)AFP