【2月26日 AFP】米ホワイトハウス(White House)は、3月1日に迫った歳出の強制削減が発動した場合の州ごとの影響を報告書にまとめ公表した。削減額の規模は約850億ドル(約8兆円)に上る。議会は対立しているが、期限までに合意に達することができなければ、歳出削減が自動的に発動することになる。

 ホワイトハウスによる歳出削減が発動した場合の影響見通しは以下のとおり。

■国防

 国防総省の職員80万人は週1日の自宅待機を命じられ、給与は20%カットされる。すでにペルシャ湾への2隻目の空母派遣が中止されている海軍は、さらに艦艇の洋上展開時間を30~35%削減する。基地と機材の維持費も削減されるため、一部の下請け会社との契約が解除される。陸軍の予算削減はなし。

■教育

 学校への補助金のうち、教員1万人と、障害のある子供の専門家7200人に相当する額が削減される。また5歳未満の子ども約7万人が、低所得者層を対象とした幼稚園プログラム「ヘッドスタート(Head Start)」を受けられなくなり、結果としてさらに1万4000人の教員ポストが失われる。

■空港

 主要空港における外国人の入国手続きは30~50%長くなり、ハブ空港では4時間以上に上る可能性もある。米運輸保安局(Transportation Security AdministrationTSA)による新規雇用の中止、さらには残業の禁止と職員5万人に月間最高7日間の自宅待機を命じることから、セキュリティチェックの待ち時間も長くなる。

 米連邦航空局(US Federal Aviation AdministrationFAA)によれば、航空管制官や空港職員の一時解雇も行われるため、夏の旅行シーズンには航空便の遅延が発生し、全米200か所の小規模空港が閉鎖されることになる。

■研究、食品、国立公園

 米国立衛生研究所(US National Institutes of HealthNIH)などの連邦研究機関では一部の研究が延期もしくは中止となる。食品医薬品局(US Food and Drug AdministrationFDA)の予算も削減されるため、新薬の承認プロセスが長期化する。

 FDAは食品検査を2100件削減する。国立公園は、全米398公園の多くが一部または全面閉鎖される。(c)AFP