【2月6日 AFP】容疑者への過酷な取り調べなどを含む米中央情報局(CIA)の世界的な活動に、54か国の政府が協力していたという報告書を、人権団体「オープン・ソサエティー財団(Open Society Foundations)」が4日、発表した。

 オープン・ソサエティー財団の報告書は、2001年9月11日の同時多発テロ以降のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権下で行われたこの活動を支援した国に関する、これまでで最も包括的なリスト。

 過激派の疑いのある人物を、米国内では保障される法的保護を与えずに米国およびそれ以外の国の情報機関が尋問するために、ブッシュ前大統領は法的手続きをとらずに個人の身柄を移送することを可能にする「特例拘置引き渡し」を承認した。

 オープン・ソサエティー財団によると、54か国の政府が、自国内でのCIAの収容施設の設置、容疑者の尋問の実施、秘密の任務を帯びた航空機の領空通過、情報の提供などで米国に協力したことを示す証拠を発見したという。

■イランもCIAに協力

 アフガニスタンやエジプト、パキスタン、サウジアラビアなど、自国内でイスラム過激派と長く戦ってきた国々が米国を支援している場合が多かった。南アフリカもリストに含まれていた。

 また、オーストラリアや英国、カナダ、デンマーク、フィンランド、ドイツ、アイルランド、イタリア、ポーランド、スペイン、スウェーデン、トルコ、タイなどの米国の友好国もリストに上っていた。

 米国との関係は良好ではないイランも米国の協力国としてリストに載っていた。イラン政府は間接的に少なくとも10人の容疑者(大半がアラブ人)を、アフガニスタン政府経由で米国に引き渡していた。

 報告書は、ブッシュ政権が人権侵害にあたる行為を承認したことは「明白」であり、それゆえに米国の道徳的な立場を損うものだと述べ、米国が国内と国外で取った行動の説明責任を果たすように求めた。

 さらに報告書は、諸外国にも責任があると述べた。これまでに謝罪を表明したのはカナダ政府のみで、個人に対する賠償を行ったのはオーストラリアと英国、スウェーデンの3か国のみだ。(c)AFP/Shaun Tandon