【1月22日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は21日、ワシントンD.C.(Washington D.C.)の連邦議会議事堂前で2期目の就任式に臨んだ。就任演説のなかでオバマ大統領は、熱意をこめて野党共和党に協力を呼びかけるとともに、共和党の「絶対主義」で気候変動、移民、銃規制の問題での進展を妨げないよう求めた。

 米国史上初のアフリカ系大統領のオバマ大統領は、宣誓式で、奴隷解放を宣言したエーブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)第16代大統領と米公民権運動の黒人指導者マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(Martin Luther King Jr.)牧師がそれぞれ使っていた聖書2冊に手を置いて宣誓の言葉を述べた。

 オバマ大統領は星条旗で飾られた議事堂の西側正面の会場で、米国旗の小旗を振る大勢の米市民を前にリベラルなイデオロギーに彩られた就任演説を行い、「この国は一握りの幸運な人たちだけに自由が用意された国ではないと、私は信じる」と述べた。

 米憲法は大統領の3選を禁じているため、これ以上は自身の選挙を心配する必要のないオバマ大統領だが、2期目大統領としての神通力が長くは持続しないことも承知している。迅速に課題を前進させようと「決めるのは私たちだ。その決定を先延ばしにしている余裕はない」と呼びかけた。

■共和党に協力を呼びかけるが

 オバマ大統領は米国民に結束を呼びかけて聴衆をおおいに盛り上げ、「同性愛者の兄弟姉妹(米国民)が法の下で同等に扱われ、希望を抱いて米国の地を踏んだ移民たちにより良き道を提供するまでわれわれの旅は終わらない」と述べて、論争を呼んでいる同性愛者の権利や移民の問題に取り組む姿勢を示した。

 また、「デトロイト(Detroit)の通りからアパラチア(Appalachia)の山々、(12月に小学校で銃乱射事件が起きた)ニュータウン(Newtown)の静かな路地に至るまで、われわれの全ての子どもたちが常に危害を加えられることなく安全だと思えるまで、われわれの旅は終わらない」と述べ、銃規制に取り組む姿勢も示した。

 共和党はオバマ大統領が協力を呼びかけたことは歓迎する意向を示したが、大統領が指摘したイデオロギーに基づく分断が厳として存在することもほのめかした。

 共和党のミッチ・マコネル(Mitch McConnell)上院院内総務は「われわれが直面している数々の困難な問題、とりわけ持続不可能な水準に達した連邦の歳出と財政赤字という難題にオバマ大統領の2期目の任期で新たなスタートを切ることになる」と語った。(c)AFP/Stephen Collinson