【1月8日 AFP】中国で、当局に記事を検閲された新聞社の前に大勢の人々が集まり、報道の自由を求める抗議行動が起きている──数百万フォロワーを持つ同国のブロガーや著名人もこの動きに同調する動きを見せている。

 人気リベラル紙「南方週末(Southern Weekly)」が人々の権利向上のための改革を呼びかける記事を掲載しようとして当局の検閲を受けたことに対し、大勢の人々が7日、広東(Guangdong)省広州(Guangzhou)にある南方週末の本社前に集まった。

 ある新聞社の記者は8日、中国のツイッター(Twitter)類似サービス「新浪微博(Sina Weibo)」でこのようにつぶやいた。「黒い手が黒く重たいカーテンを閉じ、光と空気を遮断している。南方には週末がもはや無い」

 新浪微博で3200万のフォロワーがいる人気女優ヤオ・チェン(Yao Chen)さんは、南方週末のロゴを投稿し、そこにロシアの亡命作家、故アレクサンドル・ソルジェニーツィン(Alexandr Solzhenitsyn)氏の言葉を引用して「一片の真実の言葉は世界全体より重い」とつぶやいた。

 2700万フォロワーを持つ人気男優のチェン・クン(Chen Kun)さんはこれに応答し、「私はそこまで深くはないし、それに言葉遊びをしない。私は、南方週末の友人たちを支持する」とつぶやいている。

■広がる抗議への支持

 南方週末をめぐる抗議行動は、中国共産党の新指導部が改革を誓う中で起きた。次期国家主席の習近平(Xi Jinping)氏は11月の共産党大会以降、より開放的な統治を行うことを約束してきた。

 7日のデモは警察の許可を得て行われた。参加者の大半は、ポスターや、中国で葬儀に使われる菊の花を手に集まった若者たちだった。菊は中国の抗議行動参加者たちの間で、報道の自由が失われたことの象徴とみなされている。

 集会の前には、新聞社のスタッフたちが公開書簡を発表。同紙が掲載しようとした新年のメッセージを別の主張の弱い記事に差し替えたとして、地方プロパガンダ責任者Tuo Zhen氏の辞任を求めた。また前週末にかけては、Tuo氏の辞任と報道の自由の拡大を求め、国内各地で大勢の著名学者らが署名した書簡も広まっていた。

 中国の著名な市民活動家、胡佳(Hu Jia)氏は7日夜、南方週末の北京(Beijing)支局で撮影した自らの写真を投稿し、同支局には自分も含め大勢の人々が支持を示すために集まったと述べた。また650万フォロワーを持つブロガーのLi Chengpeng氏も「われわれには高層ビルも、世界第2位のGDPも、航空機も要らない。だが真実を語る新聞は必要だ」と記している。(c)AFP