【12月20日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は20日、同国議会で審議中の米国人がロシア人の子どもを養子にすることを禁じる法案について「適切だと考えている」と述べ、支持を表明した。今年5月の3期目就任後、プーチン大統領が大規模な記者会見を開いたのは今回が初めて。

 2009年に米国で真夏の炎天下に車内に置かれ熱中症で死亡したロシア人養子にちなんで「ジーマ・ヤコブレフ(Dima Yakovlev)法」と呼ばれる新法案は、今月初めに米議会がロシアの人権問題に制裁を加える新法案を承認したことへの対抗措置。21日にロシア下院で採決が行われる予定だ。

 プーチン大統領は会見で、「ロシア議会による感情的な対応であることは理解しているが、(法案は)適切だと考えている」とコメント。これまでにロシア人の子どもたちが養子として米国人にひきとられた後で死亡した複数の事件の裁判で、米国人の里親たちが無罪となっていることに不快感を示した。

 ロシア側の動きに先立ち米国では前週、人権侵害に関与したロシア人に対する制裁的な措置を盛り込んだ法案が、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領の署名で成立した。この法律は、露当局者の不正を告発しながら逮捕され、拘束中だった2009年に死亡したロシア人弁護士セルゲイ・マグニツキー(Sergei Magnitsky)氏にちなんで「マグニツキー法(Magnitsky Act)」と呼ばれる。マグニツキー氏は「拷問に近い状況」に置かれていたとされる。

 だが、プーチン大統領は「米国こそ問題だらけだ。これまでも指摘してきた(米兵によるイラク人収容者虐待があった)旧アブグレイブ(Abu Ghraib)刑務所や(キューバの)グアンタナモ(Guantanamo)米海軍基地がいい例だ」と述べ、ロシアの司法制度に口出しする倫理的な権利を米国は持たないとはねつけた。(c)AFP