【11月23日 AFP】エジプトのムハンマド・モルシ(Mohammed Mursi)大統領は22日、大統領権限を大幅に強化する新しい憲法宣言を発表した。発表について野党からは、独裁につながる動きで、ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)前大統領の長期政権を倒した民衆蜂起を台無しにするとの批判が出ている。

 ヤセル・アリ(Yasser Ali)大統領報道官はテレビ放送を通じて、「大統領は、革命を守るためにいかなる決定・措置も下すことができる」と述べ、また「大統領の決定や法令は絶対的なものであり、異議申し立てはできない」と発表。さらに、モルシ大統領の出身母体であるイスラム勢力が大半を占めているために、世俗派の野党から批判を浴びている憲法制定委員会についても、裁判所には解散命令を出す権限はないとしている。

 この発表について野党は、「クーデター」と非難しており、また翌23日の抗議行動を全国的に呼びかけた。ノーベル平和賞受賞者で有力な野党指導者のモハメド・エルバラダイ(Mohamed ElBaradei)前国際原子力機関(IAEA)事務局長は、マイクロブログのツイッター(Twitter)への投稿で「モルシ氏は今日、全ての国家権力を侵害しエジプトの新たなファラオ(王)に名乗りを上げた。革命(の達成)に向けた大きな問題であり、悲惨な結果をもたらしかねない」と批判した。(c)AFP/Jailan Zayan