【10月21日 AFP】英政府の緊縮策に抗議する大規模なデモが20日、英各地で行われ、首都ロンドンでは推計10万人が行進した。スコットランドのグラスゴー(Glasgow)や北アイルランドのベルファスト(Belfast)などでもデモが行われた。

 ロンドン中心部約4.8キロを進んだデモ行進では、参加者がデービッド・キャメロン(David Cameron)首相率いる連立政権が導入した緊縮財政策を非難し「削減はダメ」、「キャメロンはイギリスを殺した」などと書かれたプラカードを掲げた。ダウニング街10番地(10 Downing Street)の首相官邸前を通過する際にはブーイングが湧き起こった。

 終点となったハイドパーク(Hyde Park)で開かれた大規模な集会では、野党・労働党のエド・ミリバンド(Ed Miliband)党首が「(削減が)極端で拙速だ」とキャメロン政権を批判したが、現況下ではどの政権でも何らかの支出削減は行うだろうと述べた途端、聴衆から非難の声があがった。

 メインのデモ行進とは別に、繁華街のオックスフォード・ストリート(Oxford Street)にはアナキストのグループが集まり、マクドナルド(McDonald's)などの店舗前で大企業の租税回避に抗議した。参加していたロンドン大学ゴールドスミスカレッジ(Goldsmiths, University of London)の学生(18)は「このへんには税金逃れをしている企業がたくさんある。スターバックス(Starbucks)やトップショップ(Topshop)、ボーダフォン(Vodafon)などそうした企業が今日の(抗議の)対象だ」と語った。ロンドン警視庁によるとこの抗議中、参加者2人が警官に対する傷害罪で逮捕された。

  英国は2009年終盤に深い景気低迷から抜け出したものの、2011年末には再び後退に転じた。保守党と自由民主党による連立政権は2010年の発足後、ほとんどの省庁の予算を4年間で5分の1削減すると発表。また大学の授業料3倍値上げや、公共部門の賃金凍結など不人気な措置を相次いで打ち出してきた。(c)AFP/Katy Lee