【10月18日 AFP】16日の米大統領選の第2回テレビ討論会で、共和党候補のミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事が即興で発した「女性がつまったバインダー」という発言がインターネット上で大きな注目を集め、今後の選挙戦での女性票の行方を左右しかねないとまで騒がれている。

 討論会でロムニー氏は、州知事時代に政策顧問団の人選をした際、「女性がたくさんつまったバインダー(binders full of women)」を吟味して適切な人材選びをしたと発言した。ネット上では翌17日までに、職場における時代遅れの女性観を表した発言で、女性を「商品」扱いしているのではないかとの議論が広がり、各メディアもこぞって取り上げる事態となっている。

 民主党のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は17日、アイオワ(Iowa)州とオハイオ(Ohio)州で開いた集会で早速この発言を批判材料に利用。オハイオ州アセンズ(Athens)のオハイオ大学(Ohio University)では、約1万4000人の観衆を前に「学び、教えたいという意志を持った、有能で資質ある若い女性を探すためにバインダーなどを用意させる必要は無い」と述べた。

 一人歩きを始めたロムニー氏のこの風変わりな発言は、マイクロブログのツイッター(Twitter)でトレンドとなり、交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)に立ち上げられたページ「Binders Full of Women」は33万人分の「いいね」を獲得した。

 また、発言をからかった自作画像を投稿するブログ「http://bindersfullofwomen.tumblr.com」も作られた。

 投稿画像の中には、ロムニー氏が信仰するモルモン教で19世紀まで一夫多妻制を実践していたことにかけて「私の妻たち」というラベルが貼られた白いバインダーや、米男性誌「プレイボーイ(Playboy)」の創業者ヒュー・へフナー(Hugh Hefner)氏が書斎でバスローブを羽織り本に囲まれている写真に「女性がつまったバインダー? それなら何百冊も持ってるよ」というせりふを添えたものなどがある。ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官の写真に「誰も私をバインダーになど入れられないわ。私は大統領の部下だもの」というコメントを付けた作品も投稿された。

 接戦が続く米大統領選の行方を占うテレビ討論会でロムニー氏の口から飛び出したこの発言は、女性有権者層の支持を集めたいロムニー陣営の選挙戦略を困難なものにしかねない。コロラド(Colorado)州やバージニア(Virginia)州などでは、郊外在住女性の票が州全体の勝敗を左右するほどの影響力を持っているとされている。(c)AFP