【10月8日 AFP】米下院情報特別委員会(House Permanent Select Committee on Intelligence)は、中国通信機器大手の華為技術(Huawei)と中興通訊(ZTE) が米国の安全保障を脅かしているとして、両社の米国内での契約や買収を禁じるべきだとする報告書草案をまとめた。

 委員会による調査は1年間に及んだ。AFPが7日入手した報告書草案は「入手した機密情報と公開情報によると、華為技術と中興通訊は、外国政府の影響から自由であると信頼することができず、それゆえに米国と米国のシステムの安全を脅かしている」としている。

 下院情報特別委は、急成長する2社を中国政府が経済スパイや軍事スパイ、サイバー攻撃などに利用する恐れがあるとして調査に着手した。華為技術と中興通訊はともに中国政府とのつながりを否定しており、先月行われた公聴会に出席した両社の幹部は、いずれも自社は政治ではなく事業に注力していると強調した。

 報告書草案は、米国政府のシステム、特に慎重な扱いの必要なシステムには、たとえ部品であろうと華為技術と中興通訊の製品を使うべきではなく、また、米政府の慎重な扱いが必要な事業に携わっている請負業者のシステムについても同じだとしている。

 さらに、米国の民間企業に対して、「華為技術と中興通訊のいずれかと設備やサービスなどで取引することの長期的なリスクを熟慮するよう強く勧める」と述べた。

 報告書は、調査の結果として「米国の国家安全保障に対する脅威があることから、(米当局は)華為技術と中興通訊が関与する買収や乗っ取り、合併を禁じなければならない」とまとめている。

 59ページに上る草案は他にも、不公正な補助金や、贈賄と汚職の疑惑、イランとの取引、中国軍や中国共産党とのつながりなど、両社の持つ潜在的な問題が指摘された。

 報告書によると、機密文書扱いで非公開とされた添付書類には、委員会の懸念を裏付け、公開すれば米国の安全保障を危険にさらすことが確実な多くの情報が記載されているという。(c)AFP/Rob Lever