【8月31日 AFP】国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)は30日、イランが地下核施設の濃縮ウランの生産能力を倍増させたなどとする報告書を発表した。

 IAEAが加盟国に配布しAFPが入手したこの報告書によると、イランはテヘラン南方150キロに位置するシーア派聖地の都市コム(Qom)に近い山岳部にあるフォルド(Fordo)の地下核施設の遠心分離器を5月時点の約1000基から約2000基に増やしたという。

 またイランが過去に核弾頭設計のための爆発実験を行ったとIAEAが考え、査察の実施を強く希望しているテヘラン(Tehran)近郊パルチン(Parchin)の軍事施設でイラン側が一部の建物を解体し、その周囲の広い範囲の表土をはぎ取ったり、建物に覆いをかけたりして実験を実施した証拠を消し去ったため、IAEAの査察能力が「大きく損なわれた」としている。

 一方、イランの核開発計画をめぐる国連安全保障理事会の5常任理事国(米英仏露中)にドイツを加えた「P5+1」と呼ばれる6か国とイランの交渉は行き詰まっている。P5+1側の代表団を率いる欧州連合(EU)のキャサリン・アシュトン(Catherine Ashton)外交安全保障上級代表の報道官は30日、アシュトン氏とイラン代表団のトップ、サイード・ジャリリ(Saeed Jalili)最高安全保障委員会事務局長が近日中に会談すると発表したが、2人が直接会うのかどうかは明らかにしなかった。(c)AFP/Simon Sturdee