【8月22日 AFP】「まっとうなレイプ」の場合には女性が妊娠することはほとんどないと発言し、猛烈な批判を浴びている米共和党のトッド・エイキン(Todd Akin)下院議員(ミズーリ州)が21日、上院議員選挙出馬を断念しないと表明したことを受け、共和党大統領候補のミット・ロムニー(Mitt Romney)氏がエイキン氏に出馬辞退を要求した。

 エイキン氏は19日、「まっとうなレイプ」に対しては女性の体が生物学的な反応を示すために妊娠することがほとんどないと発言し、米政界に激震を起こした。

 大統領選でバラク・オバマ(Barack Obama)大統領と戦うロムニー氏は、同じ共和党員のこの失言で、これまでの選挙戦でつかんだ女性票を失う危険性があり、そのことを危ぐした共和党の指導者らは即座に結束を固め、エイキン氏に上院選の出馬辞退を事実上命じた。

 ロムニー氏は、「トッド・エイキン氏の発言は攻撃的であり正しくもない。エイキン氏は、国益にとって何が最善であるかを真剣に検討するべきだ」と簡潔な声明を発表した。

「本日、エイキン氏のミズーリ州の同僚(元上院議員4人)が、エイキン氏に出馬辞退を要請した。私は、エイキン氏がこの助言に従い、上院選から撤退するべきだと思う」(ミット・ロムニー氏)

 だが、断固とした中絶反対派であるエイキン氏は謝罪こそしたものの出馬辞退は拒否。21日夜、エイキン氏が上院選から撤退することが可能な期限は過ぎ、エイキン氏は上院選に残った。

■「ここに大義がある」

 共和党のマイク・ハッカビー(Mike Huckabee)前アーカンソー(Arkansas)州知事が番組ホストを務めるラジオに出演したエイキン氏は、「ここには大義があると私は信じている」と述べ、「市民から多くの支持の声」を受けていると付け加えた。

「まだ生まれていない子どもを守り、いのちに対する深い敬意を払うことは、われわれ人間にとって重要なことであり、逃げ出して良いようなものではない」(トッド・エイキン氏)

 フロリダ(Florida)州タンパ(Tampa)で来週開かれる共和党大会は、ゴールデンタイムに放送される。米国のお茶の間に自己紹介をする機会となるため、ロムニー氏と副大統領候補のポール・ライアン(Paul Ryan)氏は党大会へと向けて勢いをつけようと論戦に繰り出していたが、エイキン氏の失言で政策議論は姿を消した。(c)AFP/Michael Mathes