【7月12日 AFP】英国立公文書館(National Archives)は12日、これまで機密扱いとされてきた未確認飛行物体(UFO)に関する文書25件を公開した。「トニー・ブレア(Tony Blair)首相在任時に首相官邸に行った長々としたUFO政策についての報告」や、公開された文書の中で「英政府で最も奇妙な仕事」と評された英国防省のUFO担当部署の職務内容などが含まれている。

 UFO担当部署は2009年に廃止されているが、当時の職員によると「超常現象捜査官らを描いた米ドラマ『Xファイル(X-Files)』のように国内を飛び回って調査にあたる専門的な能力を持つ科学者で編成された最高機密のチーム」というイメージは「全くのフィクション」で、実際にはUFOに関する国防省の見解の報告、UFO調査の実施、情報公開請求やユーフォロジスト(UFOlogist、UFO研究家)らへの対応を日々こなしていたという。

 変わった調査記録では、イングランド・プレミアリーグのサッカーチーム、チェルシー(Chelsea)のスタジアム上空で警察官がUFOを目撃した事例や、イングランド東部リンカンシャー(Lincolnshire)州の住人が「3人の黒ずくめの男がやってきた」と通報した事例がある。ウェールズのホテル経営者が、「UFOが畑に着陸し、背の高い銀色のボディスーツを着た顔のない人型の生物2人が何かの測定を始めた」と地元議員に訴えた事例もあった。

 1995年には異星人が地球に来る理由を国防省のUFO調査官が分析して報告している。これによると、異星人の宇宙船が存在する確証はないが、異星人が地球を訪れるとすれば、その理由は軍事目的の偵察か科学開発、または観光だとしている。一方、1979年にUFO担当部署は、いまだかつて無線追跡システムが異星人の交信をとらえたことは一度もないと国防省に報告している。

 今回の情報公開は、シェフィールド・ハラム大学(Sheffield Hallam University)の講師で「The UFO files」の著書があるデービッド・クラーク(David Clarke)氏の情報公開請求に基づいて行われた。

 公開された文書についてクラーク氏は「英政府で最も風変わりな部署で何が行われていたのか、われわれに教えてくれるものだ」と述べ、「UFO担当部署で毎日やりとりされてきた非日常的な報告や説明、説明のできない現象を説明するためにどのような論理や科学が使われてきたのかを知ることができる」と語った。(c)AFP