【7月10日 AFP】エジプトの最高憲法裁判所は9日、最高裁の決定を受けて軍最高評議会が出した議会の解散命令をムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)大統領が無効にして議会の召集を命じたことについて、「最高裁の決定は最終のものであり、上訴することはできず、全ての国家機関を拘束する」という声明を出した。

 しかしヤセル・アリ(Yasser Ali)大統領報道官は、最高裁が判断した選挙法の一部の条項に憲法違反があるという点は即時に是正する必要はなく、「議会招集は高いレベルで国家国民の利益を考慮して」命じたもので最高裁の決定に反するものではないとしている。大統領の命令は、新憲法が国民投票で承認されてから2か月後に新議会選挙を行うための組織と、新しい議会法の採択についても規定している。

 エジプト議会のサード・カタトニ(Saad al-Katatni)議長は大統領の招集命令に従って、10日午後2時(日本時間同日午後9時)に集まるよう各議員に連絡している。

 最高裁の動きは軍最高評議会・司法当局と大統領の対立を招く恐れがあるが、最高裁と軍最高評議会は、議会の解散を命じたのはあくまで現行憲法の規定を尊重するためであり、政治的対立ではないとの立場を取っている。

 米国家安全保障会議(National Security Council)のトミー・ビーター(Tommy Vietor)報道官は9日、エジプトの指導者と連絡を取りながら事態を注意深く見守っているが、あくまでエジプト国民が民主主義的な価値観、透明性、全エジプト国民の権利を尊重しつつ決めていくべき問題だと述べた。(c)AFP/Jailan Zayan