【6月25日 AFP】ロシア正教会の大聖堂でウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領を批判する歌を即興演奏し「フーリガン行為」の容疑で3月に逮捕され、以来、裁判が開かれないまま勾留され続けているロシアの女性パンクロック・バンド「プッシー・ライオット(Pussy Riot)」のメンバー3人について、モスクワ(Moscow)の地方裁判所は20日、公判開始をさらに1か月延期する決定を下した。

■覆面・ミニスカで街角ゲリラ演奏

 ニックネームしか明かさず目だし帽で覆面をして蛍光色のミニドレス姿で活動する「プッシー・ライオット」は、3月4日の露大統領選に先立って赤の広場(Red Square)などモスクワ市内の公共の場所でプーチン氏の大統領復帰に抗議する即興演奏を盛んに行い、一躍注目されるようになった。

 2月には救世主ハリストス大聖堂(Christ the Saviour Cathedral)内の司祭のみ登壇が許されている場所に上り、ロシア正教会があからさまにプーチン氏を支持していることに抗議する曲を演奏した。拘束されているメンバーの1人は後日、「国家と宗教の癒着に反対する直接行動だ」と説明している。

 これに対しロシア正教会側は激怒し、4月に「けがれを清める」ためとして大規模な集団ミサを開催。勢いを増す反プーチン派に対抗して運動を盛り上げたいプーチン支持派も加わり、大きな反動が起きた。

■長引く勾留、禁錮7年の可能性も

「プッシー・ライオット(Pussy Riot)」のメンバー8人のうち、長期間にわたって審理前勾留されているのは3人。うち2人には幼い子どもがいる。罪状は組織的集団行動によるフーリガン行為で、有罪となった場合、無許可の抗議行動に対する量刑としては異例の長さの禁錮7年を科される可能性がある。

 弁護団は保釈か自宅軟禁を要求してきたが、検察側が被告に逃走や他の犯罪を犯す恐れがあるとして勾留継続を求めていた。ロシアの司法関連通信社RAPSIによるとモスクワ・タガンスカヤ(Tagansky)地裁は20日、既に4月に6月24日まで延長していた勾留期間について、さらに7月24まで延長すると決定した。

 アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)など国際人権団体は、長期にわたる審理前勾留を強く非難し、3人の即時解放を呼びかけている。

 タガンスカヤ地裁前では20日、抗議に集まった「プッシー・ライオット」支持者と政権支持派が対峙し、計20人が警察に身柄を拘束された。「プッシー・ライオット」の支持者には、集会でのマスク着用を禁止する新法に抗議の意思を示すため、バンドの目出し帽ルックに似せてマスクを被った参加者もいた。(c)AFP