【6月18日 AFP】エジプト軍最高評議会は17日、最高憲法裁判所が議会を無効とする判断を下したことを受け、立法権限を含む権力を軍が掌握することを定めた憲法令(暫定憲法)修正を発布した。大統領選挙の決選投票の開票作業が進められる中、国営テレビが報じた。

 大統領選の決選投票が17日午後10時(日本時間18日午前5時)に締め切られた後、エジプト軍最高評議会は、ホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)政権が民衆蜂起により崩壊した後の2011年3月に発布された憲法令の修正を発布した。

 AFPの入手した修正憲法令は、エジプト軍最高評議会が立法権を握り、憲法起草委員会が新憲法案を起草するまでは新たな議会選挙を実施しないことを定めている。

 エジプト軍最高評議会は今年1月に議会に立法権を渡したが、エジプトの最高憲法裁判所が今月14日、3分の1の議員が違法に選出されたとして議会を無効とする判断を下していた。

 シャフィク氏の大統領選出馬を禁じる法律を覆したことや、議会を無効とした最高憲法裁の判断、民間人を拘束する権限を軍に与えるとした司法省の最近の決定は、軍が権力基盤を固めようとしていることの証左だと指摘する声もある。一方、軍は、権力の座にとどまる意向はないと述べ、月末までに新大統領に権力を移譲すると約束している。

■大統領選 ムスリム同胞団が勝利宣言

 ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)が擁立したムハンマド・モルシ(Mohammed Mursi)氏とムバラク政権最後の首相を務めたアハメド・シャフィク(Ahmed Shafiq)氏が争う大統領選挙の投票は、有権者が比較的涼しい夜間の時間帯に投票できるよう選挙管理委員会が投票時間を延長し、予定よりも2時間遅れて終了した。

 選挙管理委員会のハテム・バガト(Hatem Bagato)委員長は、投票終了前に記者会見を開き、投票率が5月23、24両日に行われた大統領選挙の第1回投票時よりも低くなる見通しだと述べたが、具体的な投票率予測は明らかにしなかった。

 ムスリム同胞団は18日、開票率97%の段階で、自由公正党(Freedom and Justice Party)のツイッター(Twitter)公式アカウントにモルシ氏が「エジプトで国民に選ばれた初の大統領になった」というメッセージを流して勝利宣言した。

 記者会見を開いたムスリム同胞団幹部は、ムルシ氏の得票率は52%を上回ったと述べた。ムルシ氏は18日午前4時(日本時間同11時)すぎ記者団に対し、同氏に投票した有権者に謝意を示すとともに、「より良い未来、自由、民主主義、発展と平和のために全てのエジプト人と手を取り合って行く」と述べた。

 シャフィク氏陣営本部にいたスタッフらはムルシ氏の勝利宣言に衝撃を受けた様子で、ムルシ氏の勝利宣言についてのコメントを拒否した。(c)AFP

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