【5月29日 AFP】中国チベット自治区ラサ(Lhasa)で27日、チベット人2人が焼身自殺を図り、このうち1人が死亡した。米政府系放送局ラジオ自由アジア(Radio Free Asia)など複数のメディアが28日、伝えた。

 チベット自治区の区都ラサでは2008年にチベット人のデモ隊と政府の治安部隊が衝突した大規模暴動が起きた後、厳重な警戒態勢が取られているが、チベット自治区各地で起きていた抗議の焼身自殺の動きはラサにも及んだ。

 ラジオ自由アジアによると、2人は僧侶でチベット仏教の巡礼地として名高いラサ中心部のジョカン寺(Jokhang Temple)前で行われていた中国支配への抗議運動に参加した後、自らの体に火をつけた。

 ラサの住民らによると、27日の抗議行動以降、市内で警備に立つ警察官や武装警察官の数が増え、取り締まりがさらに厳しくなったという。

 中国当局による宗教や文化的な弾圧への抗議運動が始まった2011年3月以降、チベット人が暮らしている地域で30人以上が焼身自殺を図っている。

 チベット情勢に詳しい米コロンビア大学(Columbia University)のロビー・バーネット(Robbie Barnett)氏はAFPの電話取材に、27日の焼身自殺はチベット各地に抗議行動が広がるきっかけになった2008年の大規模暴動以降のラサでは初めての重大な抗議行動で、中国当局にとっては大きな打撃となるだろうと語った。(c)AFP/Claire Cozens